伊久江ロイ英輝

東京近郊のインターナショナルスクール、米軍基地内の学校に通う選手を中心に、U15からU18世代が集まるユース組織『Tokyo Samurai』には、かつて日本代表のシェーファー・アヴィ幸樹も所属していた。近年は日本の同年代のチームとも積極的に交流を図り、Bリーグ主催のユース大会にも参加している。ここ数年、夏になるとTokyo Samuraiはアメリカに渡り、地元のAAU(地区選抜チーム)と対戦するショーケースに参加。アメリカの高校、大学関係者に選手たちの実力を見せる機会を設けているが、新型コロナウイルスの影響で今年は断念せざるを得なかった。その代わりとして、7月中旬に川崎にて、かつて所属していたOBなども参加する5対5のスクリメージを実施した。この時の映像を見たスカウトの評価は、アメリカ東部ニューイングランド地域のリクルーティング情報HPに公開されている。

今回のショーケースで、最年少の15歳ながら光るプレーを見せていたのが伊久江ロイ英輝(セント・メリーズインターナショナルスクール)だ。ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ伊久江は、身長195cm、さらにウイングスパン(両手を広げた長さ)208cmと魅力的なサイズかつ、軽快なフットワークとボールハンドリングなどその動きにビッグマンの匂いはない。この将来が楽しみな原石にイベント終了後、これまでの経歴とこれからの目標を聞いた。

「まずはアンダー世代の日本代表が目標」

──バスケットボールを本格的に始めた時期と、そのきっかけを教えてください。

中学2年生から始めました。それまではサッカー、レスリング、水泳などいろいろな競技をやっていました。きっかけは学校の休み時間で、いつもサッカーをやっていたんですけど、野球のシーズンとなってサッカーのゴールがなくなったこと。それならバスケをやろうとなりました。今は高校1年生ですが、中学の時はアースフレンズ東京ZのU15チームに入っていました。

──ちなみにサッカーでは、どんなポジションでプレーしていましたか。また、お父さんの母国ナイジェリアはサッカーが人気競技です。バスケに転向したことを残念がっていませんでしたか。

サッカーの時はレフトウイング、左のサイドバックを中心にいろいろなポジションをこなしていました。お父さんは、バスケットボールに専念すると言った時、少し残念そうな感じでした。でもお母さんはバスケをした方がいいと言ってくれました。

──今回のショーケースについてはどんな手応えがありましたか。将来はアメリカでのプレーを目指していますか。

足の指を骨折していたこともあって、もっとできたと思います。もう少しシュートを打ったり、ドリブルでもっと攻めていけたら良かったと思います。将来はアメリカの高校、NCAAでプレーすることが目標です。ただ、アメリカにはプレップスクール(高校卒業後に通う大学進学のための学校)もあるので、まずはアンダー世代の日本代表に選ばれることが目標です。

去年、日本代表のジュニアユースアカデミー(身長の下限がある中学3年から高校2年が対象。中3は190cm、高1は192cm、高2は194cm以上)に参加しましたが、U15代表に呼ばれなかったのがちょっと悔しかったです。今年は頑張ってU16のトライアウトを受けてチームに入りたいです。

伊久江ロイ英輝

「総合的に自分を成長させていきたい」

──ウイングスパンが208cmは特に恵まれていると思いますけど、そこは自分でも武器だと考えていますか。

そう思っています。ただ、日本では恵まれていますが、アメリカとかでは僕の身長でもっとウイングスパンが長い子たちもいます。これからもっとシュートやドリブルのスキルを磨いてレベルアップしたいです。今のポジションは3番と4番ですけど、アメリカでは僕の身長でガードをプレーします。将来は2番、3番でプレーするようになっていきたいです。

──あこがれの選手はいますか。また、NCAA入りが目標ということは、試合を見たりしていますか。

好きな選手はヤニス・アデトクンボです。NCAAではデューク大学が好きです。また、八村塁選手がいた時のゴンザガ大学の試合はよく見ていました。

──最後にこれからの1年、何を目標にどのように過ごしていきたいですか。

昨日の自分より、毎日もっと良くなっていくこと。今は練習するのもいろいろと大変ですが、バスケットボールのリングが使えない時でも筋力やジャンプ力を高めるトレーニングはできるし、ボールハンドリングを鍛えることもできます。リングを使える時はシュート練習などをやり、総合的に自分を成長させていきたいです。