山下泰弘『福岡をB1へ』実現の覚悟(前編)「こういうレベルでバスケをしたい」

2018/04/05
Bリーグ&国内
54

取材・写真=古後登志夫 構成=鈴木健一郎

ライジングゼファーフクオカは40勝9敗でB2西地区の首位を快走しており、リーグから来シーズンのB1ライセンス交付も認められた。Bリーグ立ち上げに伴い、3部のB3からのスタートを強いられた福岡だが、このまま行けば2年連続の昇格でトップカテゴリーに参戦することになる。

今回取材した山下泰弘は地元チームを昇格に導くため、2年前にNBL優勝を果たした川崎ブレイブサンダースから福岡にやって来たポイントカード。キャプテンとして、司令塔としてチームを引っ張ってきた。3月上旬にケガをして「肩が上がらなくて、試合に合わせるためにずっと別メニューでした」と語るように、満身創痍で終盤戦を迎えている。それでもB2全体首位の秋田ノーザンハピネッツを迎えた連戦で堂々たるプレーを見せ、1勝1敗で乗り切った。昇格に向けて奮闘するベテランの山下に、プレーオフの再戦が楽しみな秋田との試合について話を聞いた。

秋田とのB2頂上決戦は「B1の雰囲気を味わえる試合」に

──秋田との連戦、第1戦を落としましたが第2戦に勝って、秋田の長い連勝を止めました。B1の雰囲気を味わえる試合だったと思いますが、戦いを終えてどんな印象を持っていますか?

40分間最後まで衰えない激しいプレッシャーをかけてくるとは聞いていたんですけど、噂通りでした。天皇杯でもB1のチームと試合をしましたが、それに匹敵するプレッシャーでした。第1戦が終わった後、試合には負けていたんですが小林(大祐)と「すごい楽しかったね」と話して。「こういうレベルでバスケをしたい」という話をしました。今日は勝てて、本当に2試合楽しくバスケがやれました。

昨日は秋田のプレッシャーに対してフォーメーションでボールを運ぼうとしたのですが、それがうまく機能しませんでした。秋田のプレッシャーに対して、どうしても嫌がって逃げてしまう選手もいるし、動きの精度が悪くてチームの連動性の甘いところも出ました。形通りにただやるだけで、間とタイミングだとか気が利く選手は少ないです。そこが今のライジングの課題だし、B1に上がるためのステップでもあります。

「真っ向勝負で気持ちを入れて、力技で押し切った」

──「気が利くプレー」というのは言葉にすると簡単でも、実際は相当難しいですよね。

一日では頭で理解しても身体で変えるのは難しいので、今日はポイントカードが責任を持って運ぶという話をしました。そういった意味でガードがとにかく強い気持ちを持ってプッシュですることができたと思います。

──第1戦は完敗でしたが、第2戦はしっかり修正して勝利しました。それぞれ、どんな部分が勝敗のポイントになったのでしょうか?

第1戦は秋田のために準備した戦術、ゾーンディフェンスで相手を混乱させようという奇襲をやりました。そこで秋田がトラブって良いスタートになったのですが、僕たちがゾーンに頼ってしまい、秋田に対応されました。アンラッキーのロングリバウンドから田口(成浩)選手に3ポイントシュートを打たせてしまうところが多々あって、それでリズムを向こうに持っていかれたかなと。やられたのはほとんどが3ポイントシュートとセカンドチャンス。それが響きました。

いまいち統率が取れていないところがあり、チームでやろうとした部分の共有がうまくいかず、ある選手に対する守り方に対してやれる選手とやれない選手が出てきて、犯人捜しじゃないですけど「いや、こういう守り方だろう」とチーム内で揉める悪循環になってしまいました。今日の試合は昨日の反省から、基本的には真っ向勝負。そこで気持ちを入れて、力技で押し切った結果です。

「熱いプレーをしながらも平常心を持って」

──押し切ることができた理由は経験値でしょうか。秋田のヘッドコーチは、福岡には経験豊富な選手がいることが大きいと話していました。

そうですね。相手の特徴やスタイルが情報として入っていて、ああいうハードなプレッシャーで前のめりで来るのは分かっていました。そこを一人ひとりが逃げずアタックする気持ちを持つこと、裏のスペースが空くのでそこを焦らずに使おうと話していました。

プレッシャーに負けてしまったり、いつものプレーができずにフラストレーションを溜めてしまうこともあると思いますが、そこをしっかり、熱いプレーをしながらも平常心を持ってゲームをコントロールできました。特に試合終盤、秋田がさらにプレッシャーを強めた時にコントロールできたのは大きかったと思います。

──秋田と福岡。昇格の本命である両チームの対戦には『B1の雰囲気』がありました。今のチームにどれぐらいの手応えを感じていますか?

個人的には今の順位をあまり意識していません。チームの出来としては、ポイントガードとしてもキャプテンとしても、まだまだ満足できないレベルです。今日の秋田さんもそうですけど、僕たちもチームとして40分間ああいう圧力をかけられるようにならないとB1に上がっても、というのはあります。上がるだけで満足しちゃうチームになってしまうのかなと。今は西地区の1位ですが、今後のチームのことを考えてもっと上を目指す時にはダメだという思いはあります。

山下泰弘『福岡をB1へ』実現の覚悟(後編)「カッコ良く優勝して昇格決定を」