ドワイト・ハワード

「僕には契約上の義務がある」と欠場宣言を撤回

レイカーズのドワイト・ハワードは、NBAが再開しても試合に出場しない意向を発表していた。アメリカにはびこる人種差別問題がなくなるかどうか重要な局面である今、自分たちがプレーすることで人々の意識がそれてしまうと危惧したからだ。それと同時に、NBA優勝が現実的に狙える状況を受け「自分にとって初めてのNBA優勝を何よりも勝ち取りたいけど、僕たちの団結こそ大事な戦いだと思う」と、自らの葛藤も素直に言葉にしていた。

そのハワードは『CNN』の取材を受け、これまでの考えを撤回。「僕には契約上の義務があり、チームメートやファン、レイカーズ、また家族とコミュニティにも義務がある。僕はチームに加わる。そしてその間にも、自分たちがこのコミュニティで何が起きているのか忘れないために、いろんなことをするつもりだ」と語った。

プレーしなければその間の年俸は支払われない。これでハワードは報酬を得るが、それは全額『Breathe Again財団』に寄付することを表明。その他にも、NBA選手としてプレーすることで集める注目を、人種差別問題のために役立てたいと考えているようだ。

かつては圧倒的な運動能力でNBAを席巻するとともに、素行の悪さも目立ったハワードだが、34歳になった今は成熟した姿を見せている。62試合に出場して平均19.2分のプレーで7.5得点、7.4リバウンド。数字以上に身体を張り、献身的にインサイドを支える姿が印象的だ。先発を務めるジャベール・マギーは喘息持ちで、新型コロナウイルスに感染した場合は重篤化リスクが高い。3人目のセンター、ディボンテイ・ケイコックは経験不足で、ハワードがチームに加わらずマギーも出場できないとなれば、アンソニー・デイビスをセンターで使うような無理な選手起用を強いられていただろう。そういう意味で、ハワードの『心変わり』はチームにとって大きなプラス材料となる。

精神的に大きく成長したハワードは、コート外での問題に真正面から向き合っている。コート内でも、これまで以上に信頼に足るパフォーマンスを見せてくれそうだ。