文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

守備のチームで求められる『得点面』での働き

サンロッカーズ渋谷は先週末のシーホース三河戦に敗れ、現在8連敗中と苦戦が続いている。各地区首位チームとの対戦が続いていたとはいえ、チャンピオンシップ進出のためには、この悪い流れを断ち切らなければならない。

ディフェンスを重要視するSR渋谷の勝ちパターンは、相手の得点を70前後に封じることだ。だが70点前後に失点を抑えたとしても勝てていない現状がある。3月4日に行われた千葉ジェッツとのゲーム1では、今シーズン最少得点となる48-89の大敗を喫した。このように攻撃力アップが今のSR渋谷には求められているように感じる。

こうした現状でロバート・サクレに次ぐ平均10.4得点を挙げているベンドラメ礼生にかかる期待は自然と大きくなる。ベンドラメ自身も「得点は自分が求められている部分で、出た時にはもちろん積極的にリングを狙っています。そこは自分の持ち味ですし、チームに勢いを与えようという気持ちを持って試合に臨んでいます」とオフェンスの中心を担う覚悟は常に持っている。

積極的に放つ外のシュートや切れ味鋭いドライブで得点を量産する爆発力を持つベンドラメだが、直近8試合で3試合が5点以下と波があることは否めない。それでも自身に求められる役割を分かっているからこそ、その問題に正面から向き合っている。

「安定感があるとはまだ言えないです。これからもっとチームから頼られるために、回ってきたボールを決め切る力は付けていきたい」 

「行けそうな雰囲気があっても勝ち越せない」

SR渋谷は先週末に行われたシーホース三河戦を落とし、連敗数を8に伸ばしてしまった。ゲーム2では中盤に追いつくも終盤に突き放され、猛追したが及ばないという試合の流れだった。

「勢いはあったし、行けそうな雰囲気はありました。一瞬だけリードする時間があって、でもリードを保つことができていない。 行けそうなところで勝ち越せないのが今のウチなので」と現状の課題を挙げる。

圧倒的な力の差はないが、勝ち切れない。強豪との違いは何だろうか。「悪くはないという思いは自分にもあるが、でも勝てないのは正直自分でも分からない」と苦悩の表情を浮かべる。

勝利という結果が出ないがゆえ、やっていることが間違っているのではないかと疑心暗鬼になってしまう時もある。それでも指揮官の勝久ジェフリーは「絶対に間違った方向には行っていないと思う」と発言しており、前半戦のようなディフェンスを軸にするチームのスタイルに手ごたえを感じつつある。それはベンドラメも同じだ。

「10連勝したという自信もあるし、ディフェンスから流れを作る自分たちのスタイルをやりきらないといけない」

大学で学んだ『24時間ルール』

結果が出ない時こそ、メンタルコントロールが重要になってくる。負けを引きずることで試合のパフォーマンスやその後の練習などに悪影響を及ぼす場合もある。だがベンドラメの場合、その気持ちの切り替えに関しては、大学で学んだ『24時間ルール』のおかげで問題ない。

「僕は次に引っ張ることはないです。 その日の12時(24時)までは勝ったら喜んで、負けたらしっかり反省して、過ぎたら次に向けて動く。大学からずっとそうやってきています」

勝ちゲームよりも負けた試合のほうが学ぶことは多い。課題を修正し、負け試合をどれだけ糧にできるかがプロの世界では問われる。「良い試合をして結局勝てないとチームも下を向いてしまう。でも落ち込むというよりそこから学ばないといけない」とベンドラメはその本質を理解している。

現在SR渋谷は22勝22敗で東地区5位。ワイルドカードでのチャンピオンシップ出場に向け、レバンガ北海道と三遠ネオフェニックスと肩を並べ、栃木ブレックスを2ゲーム差で追う状況だ。ライバルチームの力を認めつつもベンドラメはチャンピオンシップ出場に向け「焦りはない」と力強く答えた。

「栃木も北海道も力をつけてきていますが、まだ直接対決が残っているので良かったです。勝てば勢いに乗るチームだと思うのでその勝ちをみんなで取りにいって、栃木をまず超えてワイルドカード圏内に入りたいです」

彼が言うように、SR渋谷はケガ人を多く抱えながらも前半戦で10連勝を記録したように、勢いに乗ったら怖いチームだ。チームを勢いに乗せられるかはベンドラメの双肩にかかっている。