『継続性』を貫くことでケミストリーが磨かれ個性が出る
2016年夏、ウォリアーズはNBAに大きな衝撃を与えた。フリーエージェントだったケビン・デュラントの獲得に成功し、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンとのオールスターカルテットを誕生させたのだ。
当初は上手く機能するかどうか分からないと疑問視されたものの、2016-17シーズンが進むにつれ、オールスター4選手それぞれが共存する方法を確立していき、2017年のプレーオフではキャバリアーズにNBAファイナルで1敗しただけの完勝に終わった。
どの競技であっても、強いチームを作る上で欠かせないコンセプトは『継続性』だ。どれだけ能力の高い選手を集めたところで、短期的なプランではチームが熟成することはない。この『継続性』を貫くことでチームケミストリーは磨かれ、他のチームにはない個性が生まれる。それがチームの考え方や姿勢にも影響を及ぼし、王朝時代は築かれていく。
ウォリアーズのオーナー、ジョー・レイコブは、この継続性に関する明確な考えを『San Jose Mercury News』に語った。レイコブは言う。「我々は、そうすべきではないと思うまで、今のコアを中心にチームを作る。彼らは皆、素晴らしいレベルでプレーしている。我々も、彼らを球団のプランの一部として考えているし、何より彼らのプレーが大好きなんだ」
またレイコブは、今夏のプランについても語っている。「大きな動きは見られないだろうが、それは誰にも分からないことだ。シーズンが終わったら評価する。その中心にいると、客観視するのが非常に難しいがね」
ウォリアーズが継続性を維持する上で障害になるのは、フリーエージェントの権利を取得する中心選手の存在だ。今夏はデュラントがフリーエージェントになるが、本人は再契約を明言している。それでも2018-19シーズン終了後にはトンプソンが、2019-20シーズン終了後にはグリーンがフリーエージェントになる。トンプソンも、デュラントと同様にウォリアーズ残留を希望。グリーンの心境は分からないが、今のところチームに対する不満は聞かれず、今後数年は毎シーズン優勝候補筆頭となるであろうチームを簡単に離れるとは思えない。
今シーズンは、ロケッツがウォリアーズをしのぐ勢いで勝ち続けている。今の流れを考えれば、プレーオフでも西カンファレンスで王者ウォリアーズを唯一苦しめられる存在と言えるだろう。だが、仮に今シーズンは勝てたとしても、来シーズン以降同様の成績、チーム力を維持するのは簡単ではない。
ウォリアーズがモデルケースとして参考にすべきはスパーズだ。グレッグ・ポポビッチの下、スパーズは20年連続してプレーオフに進出し、5回の優勝を成し遂げている。ティム・ダンカン、マヌ・ジノビリ、トニー・パーカーというコアに恵まれたのは幸運だったが、『継続性』を重視したからこそ、これだけの結果を出すことができた。
ここ3年で2回の優勝を成し遂げたウォリアーズは、まさに王朝時代を迎えた。カリー、デュラント、トンプソン、グリーンが全盛期を過ぎる5、6年先を見据え、レイコブら首脳陣がどういうプランを実行に移すのか、今後は『継続性』の維持を掲げるウォリアーズの手法からも目が離せなくなりそうだ。