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形は作るもシュートが決まらず、相手のパワフルな攻めに苦戦

リオ五輪へ向けた最後の切符を争う世界最終予選、男子日本代表は「勝てばグループ突破、負ければ敗退」のチェコ戦に臨んだ。

丁寧なディフェンスから渡邊雄太のブロックショットで試合は幕を開けるも、そこから立て続けに7点を奪われる。だが、比江島慎のジャンプシュートのこぼれ球を押さえた竹内譲次が決めて初得点を挙げた日本代表は、辻直人の3ポイントシュートで9-9と追い付く。気合は入っているが冷静さは保った、まずまずの試合の入りだった。

しかし、素早いパス回しで作ったリズムに個人技で変化を加え、ノーマークを作ってシュートを放つ形は作るも、これが決まらず得点が伸びない。連戦のチェコに対して中1日置いて試合に臨むメリットを生かすべく、矢継ぎ早に選手を入れ替えるも当たりは生まれず、攻めあぐねる間にチェコに突き放され、14-23で第1クォーターを終える。

第2クォーターも0-8のランを許す苦しい展開。ここであっさりと広げられたビハインドが、後に重くのしかかることになる。

14-31とされてから、竹内譲次を皮切りに、ベンチから戻って来た渡邊の得点、そして辻の3ポイントシュートで23-36まで盛り返した。さらには比江島にも当たりが出始めて追い上げムードを作るが、ディフェンスではチェコのパワフルで直線的なドライブを止められない。リバウンドで圧倒され、ライブ・ターンオーバーからのイージーな失点も続いてしまい、前半だけで48失点。13点のビハインドで前半を終えた。

前半、特にクォーターの立ち上がりにリバウンドを取ることができず、相手にペースを握られる結果となった。

果敢に戦い続けた日本代表だが「1桁の壁」を超えられず

後半開始から日本は猛攻を仕掛ける。リバウンドが拾えるようになると、比江島が積極的な仕掛けで流れを呼び込み、渡邊が連続得点を決めた後、辻が外角シュートと見せかけてのドライブでファウルをもぎ取る。フリースロー1本を決めて45-55。しかし2本目は外し、点差を1桁に縮められず。

そして、この間にタイムアウトを取って一呼吸置いたチェコがペースアップする。チェコにとって最も苦しい時間帯に、トマシュ・サトランスキが難しいブザービーターを沈めると、そのまま8-0のラン。松井啓十郎の3ポイントシュートが飛び出すも、猛反撃に出たはずの第3クォーターは、終わってみれば51-69と点差を広げられる結果となった。

第3クォーターの終わりも第4クォーターの入りも、ルカシュ・パリザの3ポイントシュート。6本の3ポイントシュートを含むゲームハイの22得点を挙げたシューターが、要所要所でチェコに流れを引き寄せた。

だが、負ければ終わりの日本もそう簡単にはあきらめない。比江島が果敢に仕掛け、竹内公輔にも当たりが出始め、一時は20点以上あったビハインドを埋めていく。辻が連続3ポイントシュートを決めて69-83。しかし、この14点差まで詰めるのが精一杯だった。チェコは連戦の疲労を見せず最後までエネルギッシュに戦い、日本に付け入る隙を与えなかった。

チーム最多の16得点を記録した比江島。世界と渡り合えるだけの能力を示した一方で、時間帯によって波が大きかったのも事実だ。

積極性と粘りのある「日本らしいバスケ」は見せられたが……

71-87で試合終了。日本はラトビア戦に続く2連敗で、グループ最下位での敗退が決まった。ラトビア戦に比べれば積極性と粘りのある戦いぶりで、「日本らしいバスケットボール」は少なからず見せられた。しかし、やはり世界への壁はそう簡単には超えられない。惜しむべきは40分間を通じてペイントを攻略されて、多くのイージーシュートを許したことだろう。

日本のフィールドゴール率は42%。3ポイントシュート9本成功はチェコと変わらないが、2ポイントシュートは39本中17本(44%)、47本を放ち28本を決めたチェコとは開きがあった。比江島がチームトップの16得点、竹内譲次が13得点7リバウンド、渡邊が10得点7リバウンドを記録している。

これでリオ五輪への出場は果たせず。残念ながら、これが今の日本代表の実力であることをしっかりと受け止め、次の一歩を踏み出していくしかない。男子代表は2020年、自国開催の五輪に夢を託すことになった。