文=丸山素行 写真=B.LEAGUE 

ドライブからの連続得点で新潟がペースを握る

横浜ビー・コルセアーズと新潟アルビレックスの第1戦、先手を取ったのはアウェーの新潟だった。シンプルなスクリーンプレーからドライブで横浜守備網を突破し、次々とレイアップを沈めていく。ディフェンスでも逆サイドへのパスを手に引っ掛け、速攻を連発した。

開始4分半、五十嵐圭の速攻が決まり14-6横浜がタイムアウトを要求した。横浜はコンディション不良で先発を外れた川村をコートに送るが、ダバンテ・ガードナーにバスケット・カウントを許し流れを変えられない。ガードナーが10得点、五十嵐が9得点を挙げた新潟が31-19と先行した。

それでも横浜は、第1クォーターでは出せなかったトランジションオフェンスで追い上げを開始。ディフェンスリバウンドからアウトナンバーを作り、川村が3ポイントシュートを沈め、さらにジェフリー・パーマーの3ポイントシュートと、第2クォーター開始2分半で30-35と詰め寄った。

だが、新潟はここでタイムアウトを挟んで城宝匡史が4点プレーとなるバスケット・カウントを決めて悪い流れを断ち切り、ボールにプレッシャーを掛け続けゴールを守る。ファウルがかさみ、このクォーターで14本のフリースローを与えてしまうが、フィールドゴールを許さないことで流れを渡さない。城宝が3本の3ポイントシュートを含む10得点を挙げ、ガードナー不在の時間帯もリードを保った。

川村の連続3ポイントシュートも実らず新潟が逃げ切り

横浜13点のビハインドで迎えた後半、点の取り合いが続く中、細谷将司の2本のドライビングレイアップがリズムをもたらす。ここまでペイントタッチが少なかった横浜に縦の動きが加わりボールが回り始め、川村がタイミング良く3ポイントシュートを沈めていった。

横浜が点差を5点に詰めて迎えた最終クォーター、ガードナーとハシーム・サビート・マンカが互いに点を取り合い一進一退の攻防が続くが、ホームの大声援を力に変えた横浜がジワジワと迫る。そして、残り2分52秒、満田丈太郎がフリースローを沈め84-84の同点に追いついた。

だが新潟はガードナーがフリースローを沈め逆転を許さなかった。この勝負どころで五十嵐とガードナーのツーメンゲームでズレを作っては次々と加点していく。同点に追い付いた後はガス欠を起こした横浜を相手に、約2分間で8-0のランで突き放した。

横浜はファウルゲームに持ち込んだ後に脅威の粘りを見せ、川村が3本の3ポイントシュートを沈めて残り11秒で3点差まで詰め寄るも、最後は川村の3ポイントシュートが外れ、オフェンスリバウンドを細谷の3ポイントシュートにつなげるもこれも決まらず、96-93で新潟が逃げ切った。

「試合の入りが悪かったことが悔やまれる」

勝利した新潟の庄司和広ヘッドコーチは「第1クォーターで非常に良い入り方ができた」と序盤で得た貯金を勝因に挙げた。「点数はいつも80ちょっと取っているので、良ければこういう点数にはなる」と96点を記録した攻撃力への信頼を語る。だがその一方で「オフェンス重視のメンバーにしてしまうと遂行能力が落ちてしまう場合がある。我慢しれきれていないところもたくさんあったので、その時にチームの約束事の中でプレーできるように」と課題を挙げた。

敗れた横浜の尺野将太ヘッドコーチは、前半56失点のディフェンスを敗因に挙げる。「ガードナー選手に寄りすぎて、シューターに気持ち良くシュートを決められてしまった。エネルギーが足りないディフェンスをしてしまって、相手のやりたいことをさせてしまった。後半修正して戦う姿勢を示したが、試合の入りが悪かったことが悔やまれる」

富山グラウジーズが大阪エヴェッサに連敗し、新潟は4位に浮上した。2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズから5位の富山まで3.5ゲーム差と、2位争いは混沌としている。新潟は前節でアルバルク東京から連勝を挙げた勢いそのままに、チャンピオンシップ争いでも台風の目になるかもしれない。