両チームのベテランが引っ張り一歩も譲らぬ展開に
直近の6試合で1勝5敗の大阪エヴェッサ、泥沼の8連敗中の富山グラウジーズが府民共済SUPERアリーナでのナイトゲームに臨んだ。
先行したのはホームの大阪。このところ結果が出ていないことに加え、先発ポイントガードの木下博之がハムストリングを痛めて4週間の戦線離脱となったことを受け、藤髙宗一郎を橋本拓哉と組ませる2ガードとして先発させた。
両チームともオン・ザ・コート「1」でスタートした第1クォーター、先手を取ったのは大阪だった。根来新之助がサイズを生かしてアタックにリバウンドに、そして3ポイントシュートも決める働き。ルーズボールにダイブしてマイボールにすると、直後に3ポイントシュートを決めてこのクォーター9得点を稼いだ根来の活躍で、大阪が26-14とリードする。
富山は攻めの中心である宇都直輝が、第2クォーター途中でアシストを5まで伸ばすも、宇都自身のドライブは警戒されて得点が伸びず、第2クォーター半ばでベンチに下がる。この時点で25-40と苦しい状況だったが、ここで宇都に代わって入った宮永雄太、さらに水戸健史とベテラン2人が流れを変える。
自らのドライブからズレを作る宇都とは対照的に、宮永はシンプルかつメリハリの効いた組み立てで大阪のディフェンスをかき乱す。リズムが良くなると、これまで入らなかったアウトサイドのシュートが決まり始めて一気に差を詰めると、残り1分にクリント・チャップマンがシンプルなポストプレーからデイビッド・ウェアとの1on1を制してバスケット・カウントをもぎ取り、ボーナススローも決めて45-44と逆転に成功する。
要所でタレントが活躍した大阪が突き放す
ただ、ここで大阪は踏み止まった。冷静なディフェンスでタフショットを打たせると、ディフェンスリバウンドを拾って速攻に転じる。安部潤がトップスピードでアタックし、レイアップに行くと見せかけてディフェンス2人をシュートブロックに飛ばせて、優しいパスでキース・ベンソンの得点をお膳立て。これで再びリードを奪い、最後の富山の攻めも水戸のドライブを安部が止めて得点を許さない。猛追を浴びたものの46-45とリードして前半を終えた。
両チームともオン「1」の第3クォーターは第1クォーターと同様、エグゼビア・ギブソンと根来の高さを生かして押し込み、そこに藤高の果敢にアタックも加わって、開始3分で10-0のランで大阪が突き放し、そのまま優位に試合を進める。
69-61と大阪リードで迎えた最終クォーター、今度は富山が宇都とチャップマンを強調する8連続得点で69-69と追い付く。それでも大阪は先発の1番から3番、藤高、橋本、熊谷をコートに戻すことで落ち着きを取り戻し、熊谷と橋本の連続3ポイントシュートで突き放すと、ベンソンがボールを失った瞬間に思わず宇都を抱え込んだアンスポーツマンライクファウルにも動じることなくリードを守る。ラスト5分はギブソンを中心とするゴール下の守備が完璧に機能。チャップマンとデクスター・ピットマンを完封し、最後は余裕を持って逃げ切り、99-85で勝利した。
敗れた富山だが指揮官は「自信になる」と評価
大阪の勝因はリバウンドと、そこからの得点。リバウンドは41-25と圧倒、特にオフェンスリバウンドで10-3と差を付け、セカンドチャンスポイントは富山の2得点に対し大阪が13得点と圧倒した。桶谷大ヘッドコーチはリバウンドについて「宗一郎が最近オフェンスリバウンドにかなり絡んでくれて発破を掛けてくれている。外国人選手だけじゃなく日本人選手がハッスルしてくれている」と、先発に抜擢した藤高の働きを称えた。
日本人4番が小さい富山の弱点を根来が徹底して突き、たまらず富山が202cmの青木ブレイクを投入すると今度は走るバスケットで上回る。展開の妙もあり、ロスター変更も当たった。大阪にとっては勝ち方も含めて大きな連敗脱出だった。
ただ、富山からすれば相手の出方に戸惑ったことのマイナスであり、一日での修正は可能なはず。ヘッドコーチのミオドラグ・ライコビッチは「チームディフェンスを強化している中で、こうしたゲーム運びではいけない」と、今シーズンワースト2位の99失点を喫したディフェンスの改善に言及した。一方で85得点を挙げたことは指揮官も「選手たちの自信になる」と評価している。宇都は20得点11アシストと敗戦の中でも好調。他の日本人選手がどれだけ攻守に貢献できるかが、富山の連敗脱出のカギとなる。