文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

堅守速攻のバスケを実践しSR渋谷に連日の勝利

千葉ジェッツvsサンロッカーズ渋谷のゲーム2。ホームの千葉が得意のトランジションオフェンスでスタートダッシュを決め、そのまま2桁前後のリードを保ち93-85で勝利した。

SR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチが「試合の出だしがすべて」と語ったように、序盤からホームの千葉がペースを握った。小野龍猛が積極的に放つ3ポイントシュートを2本連続で沈め、合わせのチームプレーも光り得点を重ねる。守備でも1対1で守り切り、逆サイドからのヘルプの意識も高くイージーシュートの機会を与えない。アキ・チェンバースのパスカットから西村文男の速攻につないで12-4。SR渋谷が開始3分でタイムアウトを要求した。

打開策を見いだしたいSR渋谷だったが、タイムアウト明けのオフェンスでも千葉ディフェンスを崩すことができず、24秒でシュートが打てない。5本のオフェンスリバウンドでどうにか食らいつくも16-26といきなり2桁のビハインドを背負った。

第2クォーターに入ると、10点前後の点差で推移する。千葉は12本のフリースローを獲得するも成功6本に留まり突き放すチャンスを逸するが、それでも最後は富樫勇樹のブザービーターで締めて、50-37と点差を広げた。

堅守速攻のマインドを体現したアキ・チェンバース

後半の出だし、先発メンバーに戻した千葉は、後半最初のディフェンスで24秒バイオレーションを誘発した。直後のオフェンスではマイケル・パーカーが3ポイントシュートを沈め、最高のスタートを切った。

千葉の大野篤史ヘッドコーチはここ3試合連続で先発起用しているアキについて「ハードにディフェンスしてトランジションバスケットに持っていきたい、そういうところをマインドセットできる。チームに勢いを与えてくれるプレーヤー」と評価した。

土曜のゲーム1からアキがコートにいる時のディフェンスの安定感は抜群で、そのプレーがトランジションバスケットのスイッチとなっていた。そのアキがパーカーからのタッチダウンパスを受け3点プレーとなるバスケット・カウントを決めてチームをさらに勢いに乗せる。後半開始から2分半で60-39、点差を20に乗せた。

ここで崩れてもおかしくない場面だったが、SR渋谷は本来の堅守を取り戻し、ジョシュ・ハレルソンやベンドラメ礼生が3ポイントシュートを沈め粘りを見せる。しかし、グッドディフェンスの後に簡単なターンオーバーを犯し、逆速攻を喰らうなど、チグハグした展開が続き点差は縮まらなかった。

千葉が16点をリードして迎えた最終クォーター、ロバート・サクレにオフェンスリバウンドを奪われ、連続でバスケットカウントを許すなどインサイドで失点。オフィシャルタイムアウトを迎えた時点で81-71と迫られた。それでも富樫のミドルシュートやパーカーのインサイドプレーで加点し、千葉は大規模なランを許さない。

残り2分19秒、小野が3ポイントシュートを沈め再び点差を2桁に乗せ、その小野が広瀬の速攻をブロックしたところで勝負アリ。ファウルゲームで点差は詰められるも、終始10点前後の点差を保った千葉が勝利を収めた。

「正しいことをやらなければ流れは絶対来ない」

千葉の大野篤史ヘッドコーチは「前半の貯金があったから勝ち切れた」と終盤の展開を課題に挙げながらも「2試合通じてエナジーはあったと思いますし、自分たちがやりたいことが見えた」と今節の戦いを総括した。

前日の第1戦ではSR渋谷を今シーズン最少の48失点に封じた。「ディフェンスのインテンシティとかコミュニケーション能力が上がってきている。良い習慣ができてきているという実感がある」と手応えをつかんだという。それでも「まだ仮免みたいなものです(笑)」と続け、「これを継続させられるように、この2試合で終わらせないようにやっていきたい」と語った。

一方、敗れたSR渋谷の勝久コーチは「オフェンスリバウンドの参加のルールだったり、ディフェンスのルールを守れず、最初から昨日と同じパターンでした。後半はよくファイトして続けたと思いますけど、出だしの悪さが最後まで響きました」と表情は固い。

良いプレーは随所に見られたが、簡単なターンオーバーで流れを潰してしまった。ターンオーバーからの得点でちょうど10点の開きがあり、たらればではあるがこの差が勝敗を分けた。

「オフェンスにしてもディフェンスにしても一気に差を詰めようとしすぎるのだと思います。今のタイミングでパスが入ればオープンだっていう我慢しきれないパス。ホームランはいらないので、バントやシングルでいいので、正しいことをやらなければ流れは絶対来ないです」

アルバルク東京が連敗したことにより、千葉は2ゲーム差を一気に縮めて29勝11敗と東地区の同率首位に並んだ。対戦成績で負け越しているため2位に甘んじている。レギュラーシーズンは3分の2を消化して残り20試合。チャンピオンシップを賭けた戦いはさらに熱気を帯びていく。