文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「日本人の4番では自分が1番」と胸を張る

栃木ブレックスは島根スサノオマジックを今シーズン最少失点となる45点に封じ、4連勝を飾った。ガード陣のプレッシャーディフェンスもさることながら、インサイドでイニシアチブを握り続けたことが失点45という脅威的な数字を可能にした。

竹内公輔も「やってて良いディフェンスしてるなっていうのは感じました。特に後半は、終始ディフェンスで相手を圧倒できたなって思います」と手ごたえを語った。

島根は先発を務める波多野和也が右腓腹筋肉離れのため欠場し、代わりに小阪彰久が長時間コートに立った。小阪は臆することなく竹内に挑んだが、何もさせてもらえなかった。竹内は3ブロックショットを記録し、ペイントエリアで絶対的な強さを見せた。

「果敢に挑んでくるなあって。誰や思うてんねん」と竹内からは強気な発言が飛び出した。

黄金世代の筆頭として、長年日本のゴール下を守ってきた自負が竹内にはある。今回はケガの完治を優先し代表を辞退したが、現在も日本人ビッグマンとしての力量は頭一つ抜けていると言っていい。国際経験も含めた実績を考えれば、強気な発言も頷ける。

「自分的には日本人の選手にスコアされることはないと思うし、日本人4番では自分が1番だと思っています」

「チームの信頼関係によって生まれる」速攻

まさに鉄壁の守備を披露した竹内だが、オフェンスでも存在感を見せた。特に速攻で先頭を駆け上がる姿が多々見られ、ワンマン速攻から2本のダンクを叩き込んでいる。竹内はこの速攻を『信頼』から生まれると説明した。

「あれはチームを信頼してると言うか、リバウンドはライアン(ロシター)とジェフ(ギブス)が絶対取ってくれると思って走って、田臥(勇太)さんがパスをくれました。他の選手もしっかりパスをくれるし、チームの信頼関係によって生まれているものです」

主に速攻はスピードのあるガード陣が繰り出すことが多く、ビッグマンがフィニッシャーになることは少ない。速攻を強力な武器としている千葉ジェッツのギャビン・エドワーズに代表されるように、脚力がありシュートまで持ち込めるビッグマンはそれだけで脅威となる。結果的にシュートまで持ち込めなくてもアウトナンバーの状況を作り、セカンドブレイクやアーリーオフェンスにつながる。

「ハリーバックされてもウイングで走るシューター陣が空く。それがブレックスのスタイル」と自分が走ることで得られる優位性を竹内も理解している。

コンスタントに2桁得点は狙える力を持つ竹内だが、チームの勝利を優先し、決してセルフィッシュなプレーには走らない。「最近は丁寧にやりすぎてる感じはありますけど、シュートを打たないほうがリバウンドに絡めるので。欲を言えば毎試合10本くらい打って、6本くらいコンスタントに決めれるようにしたいと思ってますけどね」と自分の役割をこなすことに意識が向いている。

昨日の試合を終えて、リーグは一時中断となり、選手には束の間の休息が訪れる。「この1週間ゆっくり休めるので、自分のプレーを見て、良い2週間にしたい」と竹内は締めた。

オン・ザ・コート「1」の時間帯を主に任される日本人ビッグマンの部分で、アドバンテージを取れる竹内の存在は大きい。実績に裏付けされたプライドを胸に、竹内は栃木のインサイドを守り続ける。