前半は北海道が攻守のパフォーマンスで圧倒
川崎ブレイブサンダースがレバンガ北海道をホームに迎えた金曜ナイトゲーム。エナジー全開のディフェンスで後半の失点を22に抑え、勝負強さを見せた川崎が最大21点のビハインドを覆し、77-72で勝利した。
前半はアウェーの北海道が主導権を握った。人とボールがよく動く得意のチームオフェンスを発揮し、思い切り良く放つ3ポイントシュートが次々と決まる。開始4分、折茂武彦の3ポイントシュートで16-6と早くも点差を2桁に乗せ、第1クォーターを29-18で終えた。
第2クォーターに入っても、野口大介がペリメーターのシュートをしっかりと沈め、ダニエル・ミラーがインサイドで加点する北海道のペース。ミラーがこのクォーターだけで2ブロックを記録するなど守備でも川崎を圧倒し、第2クォーター残り3分で48-27と21点差をつけた。
だが水野宏太ヘッドコーチがジャッジに抗議し、マイボールの場面でテクニカルファウルをコールされたことで試合の潮目が変わってしまう。ニック・ファジーカスのフリースローと不要に与えたポゼッションで鎌田裕也に得点を許し、一連の流れで5点を失った。
水野コーチは試合後、「冷静さを欠いた。自分でもしっかりチームをリードしきれなかった」とコメントした。これで息を吹き返した川崎が36-50と点差を詰めて前半を終えた。
激しいディフェンスとトランジションで形勢逆転
後半に入ると、川崎がディフェンスの強度を高め主導権を奪い返す。ボールマンへのプレッシャーと受け手へのディナイで、北海道の流れるようなボールムーブを停滞させる。
第3クォーター残り5分23秒、藤井祐眞がコートに入ったところから川崎の怒涛の反撃が始まった。藤井はボールをプッシュしチームに勢いをもたらすと、自らも速攻や3ポイントシュートを連発し10得点を挙げた。川崎は4分間で13-2と一気に走り、ビハインドを5点にまで縮める。
迎えた最終クォーター、トランジションからの速攻で追い上げ、残り7分14秒、ファジーカスのゴールで同点に。こうなると流れは試合巧者の川崎に。攻めるようなディフェンスでピック&ロールのズレを作らせず、この勝負どころでジョシュ・デービスが2本、ファジーカスが1本のブロックショットでゴールを死守した。
篠山竜青のフリースローで逆転すると、畳みかけるようにファジーカスにボールを集め、残り4分34秒で69-62とリードを広げた。そこからマーク・トラソリーニに連続ゴールを許し、2点差まで迫られるも、残り52秒でファジーカスがゴール下をねじ込み勝負アリ。最後まで高い強度を保った川崎が後半の失点をわずか22に封じ、逆転勝利を収めた。
悔しい北海道「勝つべき試合を勝ち切れなかった」
勝利した川崎の北卓也ヘッドコーチは「第1クォーターで29点やられました。イージーな得点と、3ポイントが非常に良い確率で入ったので、なかなか良い流れがこなかったです。ボールに対する執念も負けていました。しっかりディフェンスもハードにやるようにと話したところ、後半ハードなディフェンスをして22点に抑えてくれた」と試合を振り返った。
ゲームハイの30得点を挙げたファジーカスもディフェンスの勝利を強調した。「エナジーを出そうとハーフタイムで切り替えた。後半ディフェンスで頑張ることができたのが大きかった」
ハードなディフェンスが勝因なのは間違いない。だが「今日の試合のプランでいつもと違うディフェンスをやろうとしていて、うまく行かなくて戻しました。選手も悩みながらやってたところがあって、吹っ切れたところもあったと思います」と、具体的な内容は明かさなかったが、試合中に展開に応じて戦い方を変えられたことが功を奏したようだ。
一方、敗れた北海道の水野コーチは「勝つべき試合を自分たちがコントロールできずに負けた。勝つべき試合をしっかり勝ち切れなかったのが今日の課題です。前半と後半、全く違う展開を作ってしまい、相手に流れを渡してしまった。非常に悔しく思っています」と逆転負けのショックを隠せない様子だった。
試合の最終盤、勝敗はすでに決していたが、川崎は篠山がゴールを決め、北海道も多嶋朝飛が3ポイントシュートを返した。これは得失点差をめぐる攻防だった。レギュラーシーズンは残り25試合。熾烈を極める東地区ではすでにチャンピオンシップを見据える段階に入っている。
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