ニコラ・ミロティッチ

「欧州復帰は自分のキャリアにとってステップアップ」

2014年から昨シーズンまでNBAでプレーしたニコラ・ミロティッチは、フリーエージェントになった昨年のオフにスペインのバルセロナと契約した。

NBAでもロールプレーヤーとして重宝されていたミロティッチだったが、本人は環境を優先した上での決断だったと『Sergiobasket Vlogs』とのインタビューで語った。

「プレータイムを得られなくてもNBAでプレーしたいという選手もいる。でも僕はヨーロッパのバスケットボールはレベルが高いと思っている。ユーロリーグの競争力も上がっているし、リーガACBもレベルがすごく高い。欧州復帰は自分のキャリアにとってステップアップで、実力を証明しないといけない」

アメリカを離れた理由をこのように語ったミロティッチだったが、実は昨年のオフにジャズから3年契約をオファーされたという。昨オフにギリシャで家族と休暇を楽しんでいたミロティッチは、ジャズとの交渉に向かうために飛行機のチケットを予約した。そして空港まで行ったが直前になって考え直し、きびすを返してホテルに戻ったという。

「ジャズからはフリーエージェント選手との交渉が解禁されたら一番に契約したいと言われた。保証ありの3年契約を提示されて、素晴らしい契約だったと思う。妻に相談したら、自分が幸せと思う選択をすればいいと言われた。僕は往復の飛行機チケットを予約して、テッサロニキ空港まで行った。でも『どうして空港にいるんだ? どうして家族と一緒じゃないんだ? NBAのためか?』と思った。あの時そのまま飛行機に乗っていたら、ジャズと契約していただろうね。でも、僕は空港から離れてホテルに戻ることを選んだ。代理人には飛行機に乗らないことを伝えて、ジャズにもお詫びして『違う道を進もうと思う。NBAでのキャリアを続けたくない』と伝えた」

そしてミロティッチは、選手としてレベルアップを目指せる環境を優先した。「昨シーズンの自分の役割は分かりきっていた。オープンな状態でシュートを打って、フロントコートの選手とピック&ポップして、1試合で10得点、リバウンドを数本取ること。ただ、そういう時期はもう終わったんだ。とても良い時間だったけど、自分のベストなバスケットボールができていなかった。プレーする楽しさや喜びを味わえなくなったら、ヨーロッパに戻ってより大きな目標に向かうべきだと思った。自分にとって大事なのは、楽しくやれて、ハッピーになれて、チーム内で重要な役割を担って優勝を狙うこと。それができないなら、たとえ大金をもらっても、そういう環境から離れたかった。自分にはチャレンジが必要なんだ。チーム内で自分が重要な存在と感じられて、ラストショットを打つ選手でいたいしね」

ミロティッチはまだ29歳で、今後再びNBAでプレーする機会もあるかもしれない。ただ今は、全盛期を全うする生き方を選んでいる。