渡邊雄太インタビュー、カレッジ最後の戦い(前編)「リーダーシップの難しさ」

2018/02/13
NBA&海外
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文=杉浦大介 写真=Getty Images

日本バスケットボール界期待の星、渡邊雄太のカレッジ最後のシーズンが大詰めを迎えている。4年生の渡邊はジョージ・ワシントン大学のエースとして、2月10日のゲームを終えた時点で平均15.6得点、6.4リバウンド(どちらもチーム内トップ)という堂々たる数字を残してきた。
しかし──渡邊の頑張りの一方で、過去3年はすべて勝ち越し成績だったジョージ・ワシントン大は今シーズン10勝15敗、アトランティック10カンファレンス内でも3勝9敗と苦戦を続けている。特に2月3日のデビッドソン大戦では地元で58-87と惨敗。試合後には、普段は温厚な渡邊が「成長が見えてくるはずの時期なのに、見えてきていない」、「小学生レベルでも起こしてはいけないミスが出ている」、「試合が終わってこんな気持ちになっているのは初めて」、「みんなが考え直さないといけない」と目を真っ赤にして声を荒げるシーンがあった。
今回のインタビューはキャリアハイの29得点を挙げ、連敗を4でストップした2月7日のラ・サール大との試合後に収録された。その言葉からは、カレッジキャリアもあと残り約1カ月となった現時点でも、エースとしてだけでなく、チームリーダーとして苦悩し、成功を模索し続ける渡邊の姿が見えてくる。

緩みそうな瞬間こそ声を出し、引き締めて

──ラ・サール大戦ではフィールドゴール20本中11本成功、3ポイントシュート5本中2本と大活躍でしたが、20本もシュートを打ったのはカレッジキャリアの中で初めてですよね?

はい、初めてだと思います。

──4連敗、直近の9戦中8敗とチームは厳しい状況で、特にこの日は第2スコアラーのポイントガード、ジャイア・ボールデンが不在でした。今日は自分がやらなければいけないという思いがあったんでしょうか?

ジャイアがいないことによって、ボールが普段より回って来るのは分かっていました。いつもは彼が点を取ってくれるところを、今日は自分が攻めて、点を取っていかなければいけないと思っていました。アグレッシブにいけたのは良かったですし、決めるところは決められた。終盤は足にきてしまって、簡単なレイアップを外したりもしたので、もっと点を取れたなと正直思います。ただ、勝てたので良かったです。

──先の試合で渡邊選手が怒りを表に出していたことが、この試合に好影響を及ぼしていたようにも見えました。

今日はハーフタイム中も、ロッカールームに戻って来た時は『ここからが大事だ』という感じで集中できていたように思います。ただ、自分たちが良いプレーをできているのが分かっていたからこそ、誰かがジョークを言いだしたりとか、緩みそうな瞬間があったんです。そこで僕がしっかりと声を出し、みんなを引き締めることができました。おかげで今日は後半もすごく良かった。リーダーとして、そういったことを今後もしっかりとやっていかなければいけません。

残りの1カ月でどれだけチームとして一つになれるか

──4年生になった今シーズンは『リーダーシップ』が渡邊選手の一つのテーマだったように思います。1、2年生時にはポイントガードのジョー・マクドナルド、3年生時には後にNBAのホークスに入ったタイラー・キャバナーという優れたリーダーがいました。彼らの後を継いでチームを引っ張る中で、リーダーシップの難しさをどこに感じますか?

チームが上手くいっていない時、一つにまとめるのは本当に難しいですね。チーム状況が悪くなると、どうしても個人個人がやりたいことをやりだしてしまう。そういう時に声をかけても反応がなかったりします。だからといって、「あいつら聞いていないからもういいや」と自分も勝手なことをやりだすと、状況はさらに悪くなっていってしまう。だからこそ、苦しい時こそ自分がしっかりと声を出してまとめていかなければいけません。そこが本当に難しいところです。その部分はまだ成長していかなければいけないです。

──以前、『スラムダンク』の好きなシーンを聞いた時、仙道が「落ち着いて1本いこう」とチームメートに伝える場面を挙げてくれました。そういったリーダーシップが理想ということでしょうか。

そうですね。まさにそうです(笑)。

──カレッジのレギュラーシーズンも泣いても笑ってもいよいよあと1カ月弱です。この期間に達成したいことは?

とにかく一戦一戦に集中です。「まだ1カ月もある」とも言えるんですけど、個人的には「1カ月しかない」と思っています。残りの1カ月でどれだけチームとして一つになれるか。自分たちの目標はA10トーナメントで優勝し、NCAAトーナメント進出するということで変わりません。この1カ月、しっかりと集中しながらやっていき、その中で成長し、良い形でトーナメントに繋げたいですね」