志村雄彦、仙台89ERS新社長としての覚悟を語る「皆さんとB1の舞台に挑みたいし、日本一という夢を見たい」

志村雄彦、仙台89ERS新社長としての覚悟を語る「皆さんとB1の舞台に挑みたいし、日本一という夢を見たい」

2020/05/30

志村雄彦

仙台89ERSは先日、7月1日に発足する新体制を発表した。2018年の引退後にフロント入りしていた志村雄彦が代表取締役社長となり、社長の渡辺太郎が副会長となる。仙台はBリーグ初年度をB1で迎えるも14勝46敗で降格、その後は年々勝率を上げるもB1復帰には届いていない。その現状を変えるべく社長就任を決めた『ミスターナイナーズ』の心境、また志村新社長をサポートする側に回ることへの渡辺の思いを聞いた。

「彼が先頭に立つのは、我々の意思表示として一番」

──志村さんは現役を引退する際の挨拶で、「次は新たな立場として89ERSが優勝する日を皆さんと一緒に噛みしめたい」と発言しています。この時に社長になる未来は想定できていましたか?

志村 その瞬間にはありませんでした。でも、フロントに入る時にも優勝したいという思いはあったので、GMとか社長といった立場にかかわらず、あの時の気持ちは変わっていません。

──単にフロントとして働く延長線上に社長はないと思います。社長を引き受けるにあたり、戸惑いはありませんでしたか?

志村 僕は取締役としてフロントに入り、太郎さんと一緒にやっていたので、そういった意味では職員ではなく経営サイドの一人という立場でした。この2年間、GMという肩書で主に編成をやっていたのですが、太郎さんの隣でいろんな勉強をさせてもらいました。このクラブを強くするために、僕が社長になって太郎さんと引き続きやっていけることは非常に喜ばしいです。役職は変わりますが、やることをさらに前進させるための決断だと思いました。不安とか戸惑いというよりは、この難局を乗り越えるためだと。また僕はプレーヤーとして震災を経験していますが、社長になることでこの難局を乗り越える覚悟がまたできたと思っています。

──渡辺さんにうかがいます。今回の人事はどういった経緯で決まったのでしょうか。

渡辺 2年の任期があって、次の体制をどうするか取締役会で話す中で決まりました。まずあったのは「今までと同じことをしていてもダメだ」という危機感と責任感です。ファンの皆さんが願う強いナイナーズをこの1年で作り上げるために、高校、大学、東芝で優勝経験のある彼が先頭に立って覚悟のシーズンを戦うのは、我々の意思表示として一番だと思います。新型コロナウイルスの影響を受けるシーズンで、私は事業に集中しないといけない。その中で取締役の役割分担を整理して、私たちの意思をお見せするということで今回の新体制を決めました。もともと選手としてバスケに向き合う彼の姿勢が尊敬できたから、一緒にやりたいと考えました。実際に2年間やって、それは間違っていませんでした。今までは支えてもらいましたが、今度は私が支える立場となって、彼がもっともっと成長できるようやっていきます。

志村雄彦

「楽天イーグルスの優勝は、正直うらやましかった」

──地元出身の『ミスターナイナーズ』がクラブのトップに立つにあたり、どんな覚悟で取り組んでいきますか。

志村 まずはB2優勝、B1への昇格は必ず達成したいです。ただ、一番伝えたいのは、僕は仙台に育ててもらって、ナイナーズでいろんな経験をさせてもらい、今もクラブに支えてもらっていて、そんな僕なりに今の苦しい世の中で恩返ししたいということです。今シーズンはその感謝の気持ちを伝えて、またバスケットのクラブとして結果が求められるので、それを成し遂げたい。やっぱり皆さんとB1の舞台に挑みたいし、日本一という夢を見たいです。

──仙台が日本一で盛り上がったと言えば、楽天イーグルスが優勝した2013年ですね。

志村 楽天イーグルスの優勝は今でも覚えています。僕は友達と食事をしていたのですが、どの店でも中継を見ていて、優勝が決まった瞬間にいろんなところから歓声が聞こえてきました。優勝パレードもありましたし、街全体がすごく盛り上がったんですよ。スポーツがこんなにみんなを幸せにできるんだと実感できたし、僕も現役選手として正直うらやましかったです。

渡辺 2011年の東日本大震災後、新型コロナウイルスの影響を受けた今と同様、野球もサッカーもバスケもできませんでした。でも2013年に楽天イーグルスが優勝して、地域になくてはならない存在になったと思うんです。その時は自分も現場にいてうれしかったですし、自分の仕事が誇らしかった。この2年間、地元の仙台にプロバスケットボールのチームがあって、その社長をやらせていただくのが本当に幸せだと感じていましたが、このチームも地域になくてはならない存在にしたいと思います。そのためには、日本ではまだバスケットボールがマイナースポーツだと自覚しなければいけないし、ただ勝つだけじゃなくカルチャーを作ってB1に昇格し、上がるだけじゃなくてB1で優勝した時に、楽天イーグルスの時のように地域の方々がみんな笑顔で「おめでとう」と言えるようなクラブに成長させていきたいです。

──それでは最後にもう一度、仙台89ERSの新社長としての意気込み、ファンの皆さんへの思いを教えてください。

志村 この2年間、太郎さんが楽天イーグルスで培ったものをナイナーズに植え付けてくれて、「ナイナーズは変わったよね」とか「楽しいよね」という声が周りから聞こえるようになって、僕はすごくうれしいんです。今度は僕が先頭に立つので、結果で恩返ししたい。それは選手としてはできなかったことなので、B2優勝、B1昇格は必ずここで成し遂げたい。そしてB1に上がるだけじゃなく、日本一を狙えるチームを作りたいです。

1件のコメント

  • 鈴木 健一郎 鈴木 健一郎 より:

    就任会見の日、お昼に会見をやった後、地元の取材や挨拶回りなど多忙な午後を終えてクラブオフィスに戻って来たタイミングでお2人に取材対応いただきました。印象に残るのは先輩後輩である2人の結び付き、ホームタウンに対する思い入れの強さ。楽天イーグルスの優勝は仙台にとって奇跡のような大きな出来事だったわけで、89ERSがそれを再現できたら素晴らしいこと。志村新社長と渡辺さんのタッグによる「日本一を狙えるチーム」への挑戦、注目していきます!

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