アジアで勝てている女子、Wリーグから考える『強化のための外国籍選手』の必要性

2018/02/02
Bリーグ&国内
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文・写真=泉誠一

五輪出場への原動力となった『外国人枠撤廃』決断

現在、Bリーグの得点ランキングトップ10に名を連ねる日本人選手は宇都直輝(富山グラウジーズ)ただ一人。リバウンドランキングに至っては皆無である。

2016年のリオ五輪で世界8位、昨年はアジア3連覇を成し遂げた女子選手たちの主戦場となるWリーグで、宇都の平均16.1点以上を挙げるのは以下の4人。リバウンドトップの髙田真希は、Bリーグ首位のニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)の平均10.9本を上回る平均11.7本を記録中だ。

Wリーグ 得点ランキング
1位 18.09点:渡嘉敷来夢(JX-ENEOSサンフラワーズ)
2位 17.85点:髙田真希(デンソーアイリス)
3位 17.36点:本川紗奈生(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)
4位 16.41点:河村美幸(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)

軒並み日本人選手が活躍するWリーグには、いわゆる『助っ人外国人』が存在しない。1976年モントリオール大会で5位の好成績を収めて以来、遠ざかってしまったオリンピックの舞台に返り咲くため、1992年から外国籍選手の登録が撤廃された。

それ以前は、アメリカ代表としてロサンゼルス大会、ソウル大会と2度のオリンピックで金メダルを獲得し、後に全米バスケットボール殿堂入りしたアン・ドノバン(シャンソン)など、男子でいうところの『NBAクラス』が日本でプレーしていた。当時はまだWNBAがなく、それが発足したのは1996年のこと。昨今では中国女子プロリーグWCBAに世界のスーパースターが集結しているが、バブル時代は日本がその場となっていた。

強化の観点から外国人枠撤廃に踏み切ったことで、インサイドプレーヤーの出場機会が確実に増えた。必然的に日本人選手が勝負を決めるフィニッシャーとなり、それが結果にも現れていく。撤廃直後の1996年、20年ぶりにアトランタでのオリンピックに出場し、7位の好成績を収めた。地元アメリカ代表を相手に93-108で敗れはしたが、金メダリストを最後まで本気にさせるほどの躍進を果たしている。

また、現女子アンダーカテゴリーのヘッドコーチを務める萩原美樹子は、アトランタオリンピックの翌年となる1997年、WNBAサクラメント・モナークスにドラフトされて入団。日本人初のWNBA選手が誕生したことも、Wリーグが英断したことでの産物と言えよう。

世界レベルとなった女子こそ『助っ人外国人』解禁を

バスケ後進国である日本において、外国籍選手が必要かどうか、何人が最適かという論議は絶えない。Wリーグの成功を真似て、Bリーグも同じようにすれば良いという考え方もあるが、それが正しいかどうかは結果で判断するしかない。理想論ではあるが、身長で有利に立つ外国籍選手に対抗し、彼らのポジションを奪うような活躍をする日本人ビッグマンが待たれる。

女子の場合は193cmの渡嘉敷を筆頭に185cmを超える大きな選手が増えている。彼女たちとマッチアップできる『助っ人外国人』の導入を新たに検討しても良い時期かもしれない。現在のWリーグでは5年以上日本に在留していることを条件に、シャンソンにアーリーエントリーされた187cmのロー・ヤシン(セネガル)のような留学生にも門戸が開かれており、彼女たちがどこまで日本人ビッグマンと渡り合えるかも今後の楽しみである。

身長制限などを設けて日本人ビッグマンの出場機会を保ちつつ、下位チームが外国籍選手を獲得することで、現在生じているWリーグのレベル格差を一気に解消できるかもしれない。各国代表クラスの選手がやって来れば、日本で世界レベルの戦いが見られることを謳い文句に、Wリーグとともに東京オリンピックを盛り上げることだってできるだろう。現時点で世界レベルの選手が多くいるのが、Wリーグなのだ。

強さの理由はいつでもバスケができる恵まれた環境

外国人枠を撤廃の英断をしたこともさることながら、バスケットをするための環境が整備されていることが今日の女子選手たちの強さを形成している。企業チームにはいつでも使える自前の体育館があり、しっかり食事も管理されている。

山梨クイーンビーズは2014年から2シーズン、Wリーグを退いていた期間がある。その理由は、メインスポンサーの撤退とともにそれまで使用していた体育館が使えなくなり、強化を担う環境を失ったことが大きかった。練習環境がなければ選手を確保することもできず、「そんな状況でトップリーグに参戦するのは失礼にあたる」という考えで充電期間に突入。しっかり環境を整えて、昨シーズンからWリーグに復帰した。

集客数こそ公表されておらず、Bリーグのような5000人収容のアリーナで試合をしているわけでもない。しかし、福岡でのJX-ENEOSとトヨタ戦の首位決戦や、先週末に長崎で行われたJX-ENEOSと富士通など会場は賑わいを見せている。レギュラーシーズンも残すはあと1カ月。3月17日より始まるプレーオフはすべて一発勝負のトーナメントであり、どのチームにも優勝のチャンスがある。

優勝候補は10連覇を狙うJX-ENEOSで揺るぎない。そんなスター軍団が今週末は、お茶の間に登場する。2月4日(日)18:57より、テレビ朝日系で放送される『ビートたけしのスポーツ大将』には渡嘉敷、大﨑佑圭、宮澤夕貴、宮崎早織が出演。昨年11月、日本テレビ「くりぃむしちゅーの!THE★LEGEND」に渡嘉敷が出演するなど、オリンピアン擁する女子選手は全国区のテレビ番組に出演する機会も少なくはない。

東京オリンピックへ向けて、その頻度が右肩上がりに伸びていくことは間違いない。全国各地で試合が行われており、全試合無料ネット中継の『W-TV』もある。世界レベルのWリーグはもっと評価されるべきである。