京都に良い流れをもたらしたマブンガ
京都ハンナリーズがホームの向日市民体育館にサンロッカーズ渋谷を迎えた第1戦。SR渋谷は清水太志郎が左アキレス腱断裂の大ケガを負い、今シーズンの全休が決定。満原優樹も左足太ももの肉離れで欠場、広瀬健太も離脱が続く非常事態だが、立ち上がりはエナジー全開のパフォーマンスで先手を取った。
両チームともオン・ザ・コート「1」の第1クォーター、京都の大黒柱ジョシュア・スミスをロバート・サクレがゴール下から締め出して攻めの形を作らせない。攻めに転じればベンドラメ礼生と山内盛久の2ガードの連携で京都のディフェンスを切り崩した。開始2分で8-0のラン、スミスがフリースローで京都の初得点を挙げるも、杉浦佑成の3ポイントシュート、サクレから菊池真人とビッグマン2人の速攻が決まり13-1のロケットスタートを決めた。
それでも11-23で始まった第2クォーターからは京都が盛り返す。オン「2」になり、ジュリアン・マブンガがスミスをうまくサポートし、自ら司令塔の役割も務めることで攻撃のリズムを作り出す。そのマブンガは早々にファウルトラブルとなりベンチに下がるが、マブンガが作った良い流れをマーカス・ダブが引き継ぎ、31-38まで点差を詰めて前半を終えた。
マブンガとスミス、第4クォーターに大暴れ
そして後半、時間の経過とともに京都の積極性が目立ってくる。SR渋谷は相手のアグレッシブなディフェンスをうまく利用してフリースローで加点するものの、やはり受けに回ると苦しい。京都のオフェンスはスミスが孤立した序盤の轍を踏むことなく、スミスが1on1以外の選択肢も持って仕掛けられる形を作り、岡田優介の3ポイントシュート、晴山ケビンの速攻など多彩な攻めが出るようになった。
第3クォーターの最後にジョシュ・ハレルソンがタフショットをねじ込み、SR渋谷が62-59と3点リードで最終クォーターを迎えるも、杉浦と阿部諒の新人2人を含むベンチ登録10人という状況、接戦の終盤になるとスタミナ的に厳しくなってくる。一方の京都は追う展開が続くもタイムシェアを徹底しており、この最終クォーターに勝負どころを持ってきていた。
逆転劇の主役となったのはファウルトラブルで第2クォーター途中からベンチに下がっており余力十分のマブンガだ。残り3分48秒、ハレルソンにベタ付きされているにもかかわらず逆転の3ポイントシュートを決めると、直後にシュートを狙う長谷川智也からのスティールをスミスの得点につなげる。さらにはSR渋谷のタイムアウトを挟み、今度は山内の背後から長い腕を伸ばしてボールを奪取し、そのままワンマン速攻。しかもこれが追いかける山内のファウルを誘い、山内をファウルアウトに追い込んだ。体勢を崩しながらもシュートをねじ込んだマブンガは、フロアに倒れながらもガッツポーズを見せる。
なおもマブンガの得点ラッシュは止まらない。残り1分44秒にはハレルソンからサクレにマークがスイッチする一瞬の隙を見逃さずに3ポイントシュートを沈め、残り1分にはサクレとの1on1をスピードで制しバスケット・カウントとなる3点プレーで80-71と突き放す。こうなるとSR渋谷に追う力はもう残っていなかった。最終スコア82-73で京都が激闘を制している。
流れを呼び込んだ片岡「ディフェンスからハッスル」
『逆転の京都』の面目躍如とも言うべき試合を、浜口炎ヘッドコーチはこう振り返る。「出だしでジャンプスタートされて、リバウンドを取られイージーなターンオーバーをやられてしまいましたが、ここを我慢すれば大丈夫だと考えました。後半に入ってアグレッシブに、手も足も動いて逆転できました」
京都の73得点のうち、実に50がペイント内での得点。スミスが26得点、マブンガが18得点(うち15得点が第4クォーター)と勝利の立役者となったのは間違いない。それでも、スタートでつまづいた試合を立て直した、セカンドユニットの片岡大晴、綿貫瞬といった選手のハードワークも見逃せない。
片岡は「試合の入りが良くない中、いつも通り綿貫選手とコートに入り流れを戻すべく奮闘でき役割は果たせたかと思います」と、そして綿貫は「苦しい立ち上がりだったので、攻撃をやりきること、そして元気がなかったと感じたのでディフェンスからハッスルすることを心掛けました」とコメントしている。
京都はこれで17勝14敗、西地区2位の座を固めている。しかし、天皇杯ファイナルラウンドの結果からも明らかなように、さらなるチームのレベルアップは必須。今シーズンここまで同一カード2連勝が少ないのがネックで、今日の第2戦で連勝といきたいところだ。一方のSR渋谷はケガ人続出で苦しいが、杉浦が2度目の先発で10得点を記録してプロの壁を容易に乗り越えている。この時期にチームとして成長できるかどうか、メンバーが戻った時に大きな違いとなるはずだ。