過去の反省が生かされたシチュエーション
1997年のNBAファイナル、ブルズvsジャズの第6戦、スティーブ・カーがマイケル・ジョーダンから受けた指示はとてもシンプルなものだった。「ジョン・ストックトン(当時のジャズのポイントガード)がダブルチームにきたらパスするよ」
現役時代、ブルズでマイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペン、デニス・ロッドマンらとスリーピート(3連覇)を達成したスティーブ・カーが先日ポッドキャスト番組『Runnin’Plays podcast』に出演し、試合を決定付けるシュートをジョーダンから任されたときの素直な感想をシェアした。
「漏らしそうだった。いや、今の発言を訂正させてくれ。放送で使えるか分からないからね」
カーに指示を出した直後ボールを受けたジョーダンはストックトンを引きつけオープンになったカーにパス。カーがミドルレンジのジャンプショットを決め、残り4秒で88-86とリードを奪ったブルズが結局90-86で勝利した。
ブルズは7年間で5度目の優勝を飾り、カーはジョーダンの信頼を勝ち取った。ジョーダンが指示したプレーは過去の対戦の反省を生かしたものだったとカーは語った。「ユタでの第3戦か第4戦で全く同じ状況があった。ストックトンがジョーダンにダブルチームに行きボールをスティールして、カール・マローンに見事なパスを通された。このプレーがきっかけで負けてしまった。ジョーダンはその時のことを覚えていたんだ」
ファイナル第6戦までの3ポイントシュート成功率が30%を切り不調だったカーだが、優勝を決定づけるシュートを成功させた。「普通の状況なら易しいショットだった。子供の頃から夢見てたようなシュートが打てて決まったときは頭の中で2つ考えていた。一つは『とんでもないことが起こったぞ』で、もう一つが『残り4秒あるから同点になる可能性もある。まだ終わっていない』ということだった」
最後にカーは、優勝を決めるシュートを任せてもらえ、そしてそのスリルを味わえて選手として最高の瞬間だったと振り返った。