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ブレイザーズはエースの心意気に応えられるか

現代のNBAでは『ビッグ3』、または『スーパーチーム』の構築が優勝に欠かせない条件とされている。これが必然的に、優勝を狙える一部チームにスター選手が集まる流れを生んでいる。しかし、トレイルブレイザーズのデイミアン・リラードは、フリーエージェントの権利を得たとしてもその流れに傾倒しない選手として知られ、NBA選手になる道を開いてくれた球団に感謝し、球団が望まない限り移籍するつもりはないと断言している。

それでも、今年28歳のリラードは今がまさに全盛期。球団に優勝する気がなければ話は変わってくる。彼はチームオーナーのポール・アレンとミーティングを行い、優勝が可能なチームを作る意思があるかを確認したと『ESPN』が報じた。

リラードの契約は2020-21シーズンまで残っており、ブレイザーズがすぐさま何らかのアクションを求められているというわけではない。ただ、チームの現状としてここ5シーズンで4度プレーオフに進出しているが、いずれも1回戦で敗退しており、西高東低化が進む西カンファレンスでさらに上の成績を目指すのであれば現状維持では難しい。

リラードとCJ・マッカラムのデュオはリーグ屈指の『ワンツーパンチ』であるが、第3の存在を欠いている。昨シーズン後半にナゲッツから獲得したユスフ・ヌルキッチは優れたビッグマンではあるが、試合に与える影響、インパクトでリラードとマッカラムには見劣りしてしまう。

ブレイザーズが補強を進めるには、エバン・ターナー、モーリス・ハークレス、マイヤーズ・レナードと結んだ1000万ドル(約11億円)超、または2000万ドル(約22億円)近い高額契約を整理する必要がある。彼らはいずれも優れた長所の持ち主だが、一芸に秀でた『ロールプレーヤー』が適正評価であって、ブレイザーズが大盤振る舞いをしてしまった感は否めない。

リラードは、勝てるチーム作りを求めつつ、球団の現状に理解を示し、リーダーとしてチームを引っ張る役割をこれからも担い続けるだろう。それでも、心にモヤモヤを抱えたままプレーするのは不健全だ。球団としては彼の心意気に応えるだけの環境を作らなければならない。ブレイザーズにとって最悪のケースは、間違いなくリラードを失うことなのだから。