文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

積極性とバランスの良さで北海道が先行

リーグ再開の一戦、レバンガ北海道は川崎ブレイブサンダースを北海きたえーるに迎えた。第1クォーターは点差のつかない均衡が続き、17-16と北海道がわずかにリード。北海道は6選手が得点した一方で川崎は16得点のうち12がニック・ファジーカス、残る4点もジョシュ・デービス。日本人選手は無得点、シュート試投数もわずか6と偏った。

ともに外国籍選手オン・ザ・コート「1」の第2クォーター、ファジーカスがベンチに下がると川崎は失速してしまう。5分間で得点は篠山竜青の3ポイントシュート1本のみ。守備の要であるマーク・トラソリーニに加えて野口大介がリバウンドにブロックショットにと奮闘。ファジーカスがコートに戻っても北海道のディフェンスは緩まず、ピック&ロールに対しズレを作らせずにタフショットを打たせ、このクォーターを7失点で切り抜けた。

後半の立ち上がり、川崎は最初のプレーで鎌田裕也が多嶋朝飛に当たって突き飛ばす激しさを見せ、プレー強度を高めて打開を図る。しかしファジーカスのポストに入れるパス、ポストから次に展開するパスを狙われて速攻を連続で浴びて流れに乗れない。さらにはファジーカスのゴール下シュートがトラソリーニにブロックされてまた速攻、そのまま駆け上がるトラソリーニを誰も捕まえられずにイージーシュートを許し、開始2分あまりで8失点。後半最初のタイムアウトを早くも取らざるを得なかった。

それでも川崎はここで立ち直る。きっかけを作ったのは辻直人だ。自らドライブで仕掛ける動きでトラソリーニをファジーカスから引き離してイージーシュートの機会を作り出すと、今度はファジーカスとのスクリーンプレーにより自らのマークについたトラソリーニをスピンムーブでかわして自らシュートを決める。ここで得たボーナススローも決めて劣勢の雰囲気をはねのけた。

ここから川崎は、北海道の攻守を崩しきれないまま中途半端なシュートを打っていた前半とは一変し、日本人選手も含め打ち切る積極性が出て来る。これで北海道は立て続けにファウルをおかしてチームファウルが5に到達。これでハードなディフェンスが次々とフリースローを与える結果となった。第3クォーターの最後は篠山竜青がダブルチームでコーナーに追い込まれた状態から根性でパスを出し、残り1秒でファジーカスがねじ込んで50-53と1ポゼッション差に迫って最終クォーターへ。

北海道の勢い、満員のアリーナに飲まれた川崎

結果的に北海道が78-75で勝利するのだが、勝因は第3クォーターの終盤から第4クォーターの立ち上がりにかけて、完全な川崎ペースの試合展開にあって選手たちが下を向かなかったことだろう。勝利を決めてトラソリーニは「まるでジェットコースターのような試合」と表現したが、まさにそのとおり。両チームともアグレッシブにプレーしてはいたが、冷静ではなかった。リードチェンジを繰り返す展開、一呼吸置いて落ち着く余裕などなく、毎ポゼッションで決死のプレーが続く。そういう意味ではチームとして経験豊富なはずの川崎が北海道のペースに巻き込まれたとも言えるし、満員のアリーナの雰囲気に飲み込まれたとも言える。

第4クォーターは25-25の壮絶な打ち合い。ただ、残り3分に長谷川のフリースローで逆転に成功した川崎が優位にあった。ここからペースを落とし、試合を締めにかかったのだが、北海道の勢いと場の雰囲気がそれを許さない。残り30秒、辻にタフショットを強いてのリバウンドを拾ったダニエル・ミラーが間髪入れず前へと展開。トラソリーニが誰よりも速く走ってこれをダンクで決めて73-74。そして残り13秒、トラソリーニが強引なアタックからレイアップをねじ込んで追い付く。さらに終盤に2本の大きなブロックショットを決めていたアマンドソンのファウルによるボーナススローも決めて76-75と逆転に成功。

まだ川崎にはワンチャンスが残されていたが、ここで長谷川がスローインをかっさらわれ、関野剛平にワンマン速攻を浴びるミスを犯す。冷静な長谷川も場の空気に飲まれていた。残り10秒、3点差を追う川崎はファジーカスがファウルを誘いつつ3ポイントシュートを放つが、4点プレーで一気に逆転を狙うビッグプレーは決まらず、最終スコア78-75、北海道が大きな勝利を手にした。

水野ヘッドコーチ「やるべきディフェンスのスタイル」

北海道の水野宏太ヘッドコーチは「この東地区を戦っていくうえでとても重要な一戦」とこのリーグ再開初戦を定義。「最後に自分たちがゲームをまとめ、必要な時に必要なスコアを取ることができて勝利することができた」と喜ぶ。

勝因はやはりディフェンスだ。「相手を80点に抑えるためにどうすべきかというゲームプランを立てて、選手たちが遂行してくれて相手のペースにさせなかった。そこは本当に頑張ってくれました。後半戦、もう一度基本に立ち返ろう、やるべきディフェンスのスタイルというものを出すことにこだわって準備してきた中で、今日のようなディフェンスができたことをうれしく思います」

川崎のルー・アマンドソンは9分のプレーで2得点とスタッツは残せなかったが、勝負どころで大きなブロックショットを2本決めていた。最後のトラソリーニの一発を止めればヒーローだったが、結果は逆。彼が与えたボーナススローが致命的な1点となってしまった。「後半に追い付いたが大事なところでミスで終わってしまう形で負けてしまった。こういう負け方が一番悔しい」と悔しがる。

これで北海道は年末から続く連勝を5に伸ばした。北海道日本ハムファイターズとのコラボデーで日ハムカラーのジャージーを着用。5097人の観客を集め、ホームでの平均観客数で3755人となり栃木ブレックスを抜いて2位へと浮上した。今日14時5分ティップオフの第2戦でもこの勢いを継続できるか。北海道はこのカードで連勝すると18勝12敗で通算成績で川崎に並ぶことになる。逆に川崎にとっては正念場。優勝を目指すチームに同一カードの連敗は許されない。