昨夏、日本代表における安藤周人はアジア予選で出場機会を得られなかったところから評価を勝ち取り、ワールドカップに参加して『世界のレベル』を体感した。しかし、その後に迎えたBリーグの戦いは、安藤にとっても名古屋ダイヤモンドドルフィンズにとっても不本意なものとなった。思うように立て直せないままシーズンは途中で終了となってしまったが、それでも彼にとっては、この苦い経験をさらなる成長の糧に変えられるかが大事になる。この濃密な1年で何を得たのか、安藤に語ってもらった。
「今は自分の身体と向き合うことを意識しています」
──シーズンが途中で終了となり、不要不急の外出を控えなければいけない今、どうやって過ごしていますか。
シーズンがこういう感じで終わるとは全く予想していませんでした。ただ、リーグが僕たち選手のことを思って苦渋の決断をしたので、まずはそこにしっかり感謝しています。だからと言って毎日を無駄に過ごすわけにもいかないので、自宅でできるトレーニングを極力やるようにしています。日々、自分なりに自粛して、早くコロナウイルスが収まるようにと思いながら過ごしています。
──自宅でできるトレーニングは限られてしまいますが、そこで意識しているところを教えてください。また、バスケットの試合を見たりしますか。
トレーナーに自宅でできるトレーニングを教えてほしいと言ったら、たくさんのメニューを送ってくれたので、それを重点的に行っています。自宅でもできるトレーニングはたくさんあります。
正直に言うと、バスケットは全然見ていません。今はトレーニングに集中しようと思っています。YouTubeとかでいろいろな選手のハイライトを見たりはしますが、だからと言ってバスケットのことをじっくり考えているかと言われたらそこまでではないです。今は自分の身体と向き合うことを意識しています。
「来シーズンは一切迷いのないプレーをしたい」
──新型コロナウイルスの件を抜きにして、安藤選手にとって今シーズンはどんなシーズンでしたか?
シーズン前から代表活動もあって本当に濃い1年でした。正直、ワールドカップが終わって一回自分を見失いました。何をすれば良いのか苦しんだ時期はありました。シュートを打つのに迷うことがたくさんありましたけど、そこでスタッフやチームメートから「もっともっとやっていいんだぞ」みたいなアドバイスや声を掛けてもらったことで助けられました。自分なりに悩んで考えて、結果としてはついて来なかったですけど、成長できたと思う1年でした。
ワールドカップで世界と戦ったことで、特にディフェンスが足りないと実感して、自分なりに変えようと思いました。ディフェンスに関しては良くなったと手応えはあります。ですがオフェンスは全然ダメでした。今シーズンは確率も悪く、得点も取れなかった。相手ディフェンスへの対応ができていなかったので、そこは反省すべき点です。
──具体的にオフェンスのどんなところが課題ですか。シュート確率なのか、シュートに持っていくまでの動きなのか。
全部が納得できていません。シュートに行くまでの過程で無理なタフショットも多かったです。自分が犠牲になれば良いところで、無理やり打ちに行ってしまうこともありました。過程が悪かったから確率も上がらなかったんです。「自分がやらなければ」という考え方が強すぎたことが多く、それを変えなければいけないと思いました。
──「自分がやらなければ」という意識についてですが、日本代表の経験もあってエースとしてチームを引っ張る意識が強くなったのでしょうか。
その通りです。日本代表に入ったことで「もっとやらないといけない」と自分に変なプレッシャーを与えてしまいました。逆に言えば自分勝手になりすぎた。シーズンが終わって振り返った時にそういった思いは出てきました。
自分自身にプレッシャーをかけすぎたかもしれないですが、それは言い訳にできません。そのプレッシャーを跳ね除けないといけない。それに自分がエースという覚悟も、まだまだ持ててはいないです。大事な時間帯で逃げてしまう、他の誰かに任してしまう部分もまだありました。勝っても負けても自分の責任という気持ちにならないと、これ以上の成長は見込めないと思っています。来シーズンは一切迷いのないプレースタイルを見せたいです。
「ファンのためにもっと成長した姿を見せる」
──苦しい思いをしたからこそ、このタイミングでその経験を整理して次の成長に繋げることが大事になります。
迷いがあったからこそ、今となってはいろいろな考え方ができるようになりました。その部分は自分も少しは成長したかなと思います。ただ、まだまだ良い判断ができていないので、そこは追求していくだけです。
──今後が不透明な状況はまだ続きますが、このオフシーズンはどんなテーマを持って過ごしていきますか。
自分の身体を一回引き締め直して、土台を作らないといけない。この時間を有意義に過ごすためにどこの筋力が足りなかったとか、シーズン後半は筋力が落ちしまうことがあったので、自分の身体を見つめ直します。今は身体を追い込むことしかできないので、それを毎日するだけです。
──最後にファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
シーズンを通してたくさんの応援をありがとうございました。こういう形で終わってしまって、僕たち自身も悔しい気持ちがありますが、ファンの皆さんもまだまだ試合を見たかったと思います。ファンの人たちのために僕たちは来シーズンにもっと成長した姿を見せる必要があるので、「この半年、何をやっていたんだ?」と言われないようにしないといけません。でも、今はみんなで協力して不用意な外出を控えて、一日でも早くコロナウイルスの感染拡大を終息させたいです。
大活躍していても性格的に「オレすごい」とは言わない周人選手ですが、今シーズンは相当に悩み苦しんだ様子。それでも「全部が納得できていない」中でも自分の内面に向き合い、課題をはっきりさせているので、きっと次の飛躍に繋がるはずです!#Bリーグ #ドルフィンズhttps://t.co/PG3YVAhqSP pic.twitter.com/C88Kg7YeBf
— バスケット・カウント (@basket_count) April 17, 2020
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