文・写真=鈴木栄一

「ディフェンスとリバウンド」の課題解消へ

リーグ最高勝率を記録した昨シーズンに比べると出遅れた感は否めないが、12月に入り徐々に調子を上げてきた川崎ブレイブサンダース。この勢いをさらに加速させるべく、12月29日の試合から登場した新戦力がルー・アマンドソンだ。35歳の彼は、NBAで10チームを渡り歩き、計428試合出場と豊富な経験を誇る205cmのビッグマンだ。

川崎の北卓也ヘッドコーチは、「ディフェンスとリバウンドという課題解消のため。また、外国籍選手で特にニック(ファジーカス)がかなり試合に出ていますので、彼のプレータイムをちょっと減らしたいというところ」とアマンドソンへの期待を語る。

来日直後のデビュー戦を勝利で終えたアマンドソンはこう語る。「チームに合流してから数回の練習を行っただけだから、試合での経験を積むことで、チームのスタイルをより知ることができたのは良かった。まだ、コンディションを戻しているところで、数週間をかけてもっと状態が上がっていくと思う」

フィリピンでのプレーを3月に終えた後、夏に18歳以上なら誰でも参加できるオープンチャレンジで、アメリカ中からチームを募集。優勝賞金200万ドルと全米最大規模の草バスケトーナメントである『TBT』(正式名称The Baseketball Tounament)に参加(ちなみに優勝チームでは名古屋ダイヤモンドドルフィンズのジェスティン・バーレルがプレーしていた)。また、元NBAのスター選手が多数参加して話題となった3×3リーグの『BIG3』でプレーしていたが、その後は実戦から離れており、100%のパフォーマンスを発揮するには少し時間がかかるかもしれない。

Bリーグ誕生以前から日本でのプレーに興味

それでもサンロッカーズ渋谷とのデビュー戦では、約14分の出場で6リバウンドを記録。コンディションが万全でない中でもチームの期待するリバウンド面で早速、期待に応えている。

日本のバスケットボールについての情報は、リック・リカート(茨城ロボッツ)など複数の友人により、Bリーグ誕生前から話を聞いていたそうだ。また、3年前に大阪で行われた『HOS GAME 2014 Drew League in Japan』で、『Drew Leagueオールスター』の一員として出場し、その時の経験がとても楽しかったこともあって、川崎からオファーが来る前から日本でのプレーに興味があったとのこと。

「日本に来るのに躊躇はなかった。ドイツからもオファーがあったけど、日本でプレーすることができてうれしい」と、川崎加入への喜びを語っている。また、今回の来日の経験から「すし、うどん、ラーメン、焼肉が好きです」と日本の食べ物にはかなり好印象を抱いているようだ。

「闘争心のあるプレーで勝利に貢献したい」

ちなみに川崎の大黒柱であるニック・ファジーカスとは、年齢も近く同じコロラド州出身であることから「高校生の頃から知っているよ」という。また、アムンドソンはネバダ大ラスベガス校出身、ファジーカスはネバダ大リノ校出身と近く、大学時代には2度対戦したことのある旧知の間柄だ。

「自分の役割はNBA時代と一緒。ディフェンスとリバウンド、闘争心のあるプレーでポシティブなインパクトをチームにもたらし、勝利に貢献したい」と自身のスタイルを語るアムンドソン。ファジーカスに続くジョシュ・デービスは、クイックネスと豊富な運動量を持ち、スピードを生かしたドライブを得意とする。そこにコンタクトの強さにベテランの巧さを備えたアムンドソンが噛み合えば、戦術の幅が大きく広がる。彼がどんなインパクトを川崎にもたらせるのか。リーグの覇権争いにも少なくない影響を与えてくるはずだ。