遠藤祐亮

Bリーグは新型コロナウイルスの感染拡大により、レギュラーシーズンおよびポストシーズンの中止を発表した。宇都宮ブレックスはライバルの千葉ジェッツをアウェーで撃破し、ここからというタイミングでシーズンを終えたことになる。思わぬ形で王座奪還の道は断たれてしまったが、激戦の東地区で31勝9敗、2位という好成績を残した。チームの主力を務める遠藤祐亮に紆余曲折あったシーズンを総括してもらった。

ターニングポイントは川崎との開幕戦

──新型コロナウイルスの感染拡大によりシーズンが中止となりましたが、チームは15連勝もあり、31勝9敗と好成績を残しました。この結果についてはどのように評価しますか?

開幕戦こそつまづきましたが、その後はケガ人が出てビッグマン不在の時期もありましたが、チームでしっかりカバーしながらやってこれたと思います。その期間があったからこそ31勝という成績にも繋がったと思いますし、チーム的には良いシーズンだったと思います。個人的にはケガが多くて、すごく悔しいシーズンになりました。

──スタッツは悲観するような数字ではなく、どちらかと言えば高値安定の数字ですが、それでも悔しさが残りますか?

ケガで欠場したことはバスケットを始めてから初めてのことだったので。でも、開幕戦からあまり調子が良くなかった中で、すぐに立て直す力というか、ダメだったけどそれを引きずらずに切り替えられる力はついたと思います。それが数字にも繋がったのではないかとは思います。

──結果的に最後の試合となった千葉戦は3ポイントシュートを7本成功させて、勝利の立役者となりました。

足の痛みもなくなって、正直これからだなっていう感じだったので残念です。

──いろいろあったと思いますが、今シーズンで一番印象に残っている試合はどの試合ですか?

僕は開幕戦ですね。舞い上がった、というか緊張もあって、自分らしいプレーができなかったです。(大河正明)チェアマンからも「川崎が勝って篠山選手の笑った顔が見たいです」みたいに煽られて、絶対に負けたくないという気持ちが大きすぎて、肩に力が入ってました。僕としては「シナリオ通りにさせないのがブレックスだ」という思いがあったんですけど、まんまとなってしまったなという感じです(苦笑)。次の週には肩の力も抜けて、自分らしいプレーができるようになりました。

正直、昨シーズンは自分としても出来すぎぐらいの成績を残せて、アーリーカップもその感じでできたんです。「これくらいはできる」みたいな自信があったんですけど、それを開幕戦でくじかれました。でも、早い段階で「これじゃダメだ」と気づくことができたし、昨季の自分よりももっと成長した自分を出さないと通用しないと思えたので良かったです。

遠藤祐亮

「バスケができないメンタルブレイクの方が大きい」

──シーズンが途中で終了してしまい、普段の生活にも支障が出ている状況で、考え方や行動に変化はありましたか?

当たり前にバスケが生活の中心であって、それがなくなったら何もないというか。バスケをしていることが自分にとってすごく大きなモノだったとあらためて感じました。シーズンは終わりましたが、バスケのことを考えない日はないですから。

シーズン中はつらいこともありますが、この期間でやっぱりバスケが好きだとすごく感じています。体育館が使えないとか、今まで普通にできていたことができないことがこんなに窮屈なのかと感じました。

──シーズン中は身体的にも精神的にも疲弊すると思いますが、そこからの解放感よりもバスケができないことのほうがつらいですか?

そうですね、状況が状況なのでそんなことを言っていられないのですが、シーズンが途中で終わることが気持ちが悪い感じです。結果が出てナンボだと思うので、その結果も出ないっていうのが本当に変な感じですかね。バスケができないメンタルブレイクの方が大きいです。

──シーズンが終了したことで、身体のケアだったり、ご家族と過ごす時間が増えるなど少なからずプラスな面もあるかと思います。

家族との時間はすごく増えて、一緒にいられることは家族も自分としてもうれしいです。ただ、普通だったらどこかに遊びに行ったりできますが、それもできないのはやはり残念ですね。遊び相手がいることはうれしいことですが。

遠藤祐亮

息子に指導も「もう嫌がられています(笑)」

──お子さんはこの状況を理解していますか?

7歳と3歳ですが、長男は理解しています。

──お父さんがバスケをしている姿が見たいという話は出ませんか?

そういうのは正直ないです。一緒にバスケをしたり教えたりはしているんですけど、小さい子に教えたことがないので、もう嫌がられています(笑)。

──スパルタなんですか?

スパルタなんですかね? 他の子に教えるのと息子に教えるのではちょっと違うというか。「なんでできないの!?」ってなっちゃいます(笑)。1対1とかそういう練習のほうが楽しいとは思うんですけど、結構地味な練習をさせているので。そうしたら「もうやらない」ってなっちゃって。教えるのって難しいなって感じています(笑)。

──再びオフコートでの話になりますが、このたびは『モテ男No.1』おめでとうございます。写真集も出るそうですね。

チームからもグッズが出ます。選んでもらえてうれしい気持ちはもちろんありますけど、いざ自分を中心に写真を撮られるとなると難しいというか恥ずかしいです(笑)。プレー中は気にしていないので分からないですが。

──そうなんですね。アワードの時はモデルさんと同じような撮影をしていたと思いますが、慣れないものですか?

「こういう顔をしてください」とか、「キリっとした顔をしてください」とか言われるんですけど、どういう顔がそうなのかが分からないんです(笑)。モデルさんってすごいなって思いました。

──では最後に、ファンの声援が恋しいと感じていると思いますが、ファンの方々へのメッセージをお願いします。

今シーズンもホームゲームでの雰囲気やファンの皆さんの声援のおかげで勝てた試合が多かったと思っています。それを優勝という形で恩返ししたいと毎年思ってやっているんですけど、結果が出ない形で終わってしまいました。来シーズンに結果を残して優勝したい気持ちがさらに増したので、また一緒に戦っていけるような状況をここから皆さんと作っていければいいなと思います。