タッコ・フォール

アフリカからやってくる若手の支援に注力

セルティックスのルーキー、タッコ・フォールがアメリカCBSの『60ミニッツ』に出演し自身の半生を語った。

フォールは16歳の時にスカウトされて、故郷のセネガルからアメリカへ渡ったが、それまでバスケットボールの経験はほとんどなかった。

「僕は背が高くて、7フィート2インチ(約220cm)もあった。当時はコートの上で何をしているのかもよく分かていなかったから、慣れるまでは苦労した。毎日プレーするのはもちろん、ジムでトレーニングしたり、練習メニューをこなすことがね。家族と離れて暮らすのはつらかった」

フォールは引っ越しを繰り返した後、フロリダ州オーランド近くの高校へ入学、卒業後はセントラルフロリダ大へ進学してチームの主力として活躍した。大学で4年間プレーしNCAAトーナメントにも出場。昨年3月、中堅校のセントラルフロリダ大が名門デューク大をあと一歩まで追い詰めた試合、ザイオン・ウィリアムソンとフォールのマッチアップは大きな注目を集めた。

結局、まだまだスキルも経験も足りないフォールがNBAドラフトで指名されることはなかった。それでも、サマーリーグでの活躍もありセルティックスとの2ウェイ契約を勝ち取っている。

フォールは10月26日のニックス戦でNBAデビューを果たしたが、主戦場はGリーグだった。レッドクローズで29試合に出場し平均12.9得点、11.1リバウンド、2.9ブロックを記録。フィールドゴール成功率は70%を超え、NBAに定着するため必要な経験を積みスキルを磨いている。

この1年でバスケットボール選手としてあらゆる面で成長しているのは間違いない。今は人気先行だが、セルティックスでもレッドクローズでもフォールは大人気。コートに立つ前からファンは彼の名前をコールし続けている。彼は知名度に実力が追いつけるよう努力を続けるとともに、自分の注目度を生かしてアフリカからスカウトされる若者たちを支援したいと考えている。彼と同じようにアフリカからスカウトされた選手の中には何の支援も受けられず利用されただけの選手もいる。幸運に恵まれた彼はアメリカンドリームをつかんだが、他の選手が不幸な境遇にいるのを黙って見てはいられない。

フォールは言う。「アメリカに連れて来られただけで、その後は何のサポートも受けられず放り出されてしまった選手がいる。物事が何か一つでも上手く行かなければ、それで終わり。でも、この状況は改善されつつある。今はNBAが協力してくれて、状況を把握しやすくなっているし、選手たちも注意するようになった。これからもっと改善されていくと思う」