文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

栃木のゾーンを攻略、A東京が主導権を握る

東地区首位を走るアルバルク東京がホームのアリーナ立川立飛で栃木ブレックスを迎え撃った。ゾーンディフェンスとマンツーマンのチェンジングディフェンスに対応したA東京が86-69で勝利を収めた。

A東京が「1-2-1-2」、栃木が「2-1-1-2」と前半にオン・ザ・コート数が分かれた。第1クォーター、オン・ザ・コート「2」の栃木はその利を生かしセドリック・ボーズマンが8得点を挙げ先手を取る。それでもアレックス・カークがオフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイントを連続で奪い、竹内譲次がブザービーターを沈めたA東京が20-18とリードした。

オン・ザ・コート数が逆転した第2クォーターに入ると、A東京のペースに。ゾーンディフェンスを敷く栃木に対し、ピック&ロールからズレを作って、素早いパス回しからオフェンス有利な状況を多く演出し、高確率でシュートを沈めていく。またジャワッド・ウィリアムズが6得点、ブレンダン・レーンが4得点と、オン・ザ・コート「2」の時間帯でしっかり仕事をこなした。15本中10本のフィールドゴールを成功させたA東京が43-36とリードして前半を終えた。

10点前後のリードを保ち続ける安定の試合運び

後半に入りA東京が最大で11点のリードを奪うも、ファウルがかさみ残り4分50秒の時点でチームファウルが4に到達。ここから渡邉裕規がファウルを巧みに誘い、4本のフリースローをすべて沈めて悪い流れを断ち切ると、その勢いのまま栃木がこのクォーターを16-15で上回った。

互いにオン・ザ・コート「2」の最終クォーター。52-58と6点のビハインドを背負った栃木は第1クォーター同様にボーズマンを強調した攻めを展開するが、A東京はサイズやスピードのミスマッチがないウィリアムズが好ディフェンスを披露し、ボーズマンをシャットアウト。10点前後の点差を保ちながら時計は進み、田中大貴がこの試合初得点となる3ポイントシュートを沈め、71-60としたところでオフィシャルタイムアウトを迎えた。

A東京はその後も集中力したディフェンスを披露。栃木の強みであるオフェンスリバウンドからの得点や速攻を許さない。そしてオフェンスではウィリアムズがこのクォーターだけで2本の3ポイントシュートを含む12得点を荒稼ぎした。

残り1分32秒、田中とのピック&ロールからカークが豪快なダンクを決め、A東京が78-69としたところで勝負アリ。その後は焦る栃木を尻目に落ち着いてゲームをコントロールし、点差を広げて勝利を飾った。

「ほとんどの時間で主導権を握ることができた」

ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは試合後、勝敗を分けた3つのポイントを挙げた。「今日の試合のカギは、どちらが40分間フィジカルにプレーできるか。2つ目は栃木の速いペース、トランジションポイントを与えないということです。それとオフェンスリバウンドのセカンドチャンスをいかに抑えるか、でした」

A東京は終始フィジカルなディフェンスを見せ速攻からの失点をわずか6に封じ、セカンドチャンスポイントでも12-9と上回った。オフェンスリバウンドも11-7と上回り、全体のリバウンドでは40-25と、栃木の得意とするリバウンドを制した。

「ボールが回り、選手が動く栃木の流れの良いオフェンスをいかに止めるかがカギでした。それが今日はできて、ほとんどの時間で主導権を握ることができた」と、ルカコーチは満足気な表情を浮かべた。

敗れた栃木の安齋竜三ヘッドコーチは「A東京はカンファレンス1位のチームなので、どうにかリズムを崩そうとしました。点数が離された時間が何回かあって、個人個人でやってしまった部分が今の東京さんとの差」と試合を振り返った。

ゾーンディフェンスを多用し、オールコートゾーンも用いた意図もリズムを崩すためだったと説明。「東京さんはオフェンスの遂行度がかなり高いチームで、スペーシングも素晴らしく、こちらから何か仕掛けて少しでもそのリズムを崩したかった」。それでもA東京の徹底ぶりが上回り、この結果となった。

勝利したA東京は18勝4敗とし東地区の首位をがっちりとキープ。今日14時05分からの第2戦は栃木の修正力が問われる一戦となる。