ビンス・カーター

ロックアウトに始まり、コロナウィルスで終わる不運のキャリアになる可能性も

3月11日、ジャズのルディ・ゴベアに新型コロナウィルス検査で陽性反応が出たことを受け、NBAは同日以降のレギュラーシーズンを一時中断することを決めた。

シーズン再開時期、そして来月から行われる予定だったプレーオフ実施については未定で、リーグは事態の進捗状況を踏まえて判断すると見られている。

選手、ファンにとってショックの大きな事態になったが、ホークスのビンス・カーターの心情も複雑だ。2019-20シーズンを最後に現役を引退するカーターにとって、11日のニックス戦が現役最後の試合になってしまう可能性もある。

この可能性を考慮し、ホークス指揮官のロイド・ピアースは、ニックス戦で急遽カーターにプレータイムを与えた。

カーターはベンチから12分39秒出場し、5得点1リバウンドを記録。この試合で彼の勇姿を見られるのが最後になってしまうのは、あまりにも不憫だ。

思えばカーターのキャリアは、理由は違えど不運にもシーズン中断というアクシデントから始まった。1998年のドラフト全体5位指名を受けたカーターだったが、当時球団オーナー側と選手会の労使交渉が決裂し、1998-99シーズンはロックアウトに突入。年明けに交渉がまとまったものの、カーターのNBAデビューは大幅に遅れた。

22年が経過し、キャリア最後のシーズンを送っていたカーターは、流行病によって予定より早くコートを去らなければならないかもしれない。しかし本人は社会状況に理解を示し、「これで終わっても仕方がない」と、ニックス戦後に語った。

「本来なら16、17試合くらい残っていたけど、どうなるか分からない。この残り試合に関しては、これからも話題になるだろうね。ただ、コーチが出場機会をくれて、最後になるかもしれないけど点を決められた。変な感じがするけど、クールな思い出になるだろうね」

「本当は試合がまだ残っているのに、これで終わりというのは不思議な感じだ。でも、これで終わりということなら、それはそれで仕方がない。開幕前から引退を意識しないようにしていたから、変な感じだよ。コービー(ブライアント)とも話して引退に関して言葉にすることに、抵抗がなくなり始めていたんだけどね。残り試合がどうなるか分からないけれど、これはこれで構わない。バスケットボールのおかげで今の自分がある。良い時も、悪い時も楽しませてもらった。これで終わっても構わない。最後に点を決められたしね」