「クラブの意見は立ち位置によって違う」
Bリーグは本日、3月14日(土)から4月1日(水)までのB1、B2の計131試合を無観客で実施することを決定した。
大河正明チェアマンは今回の決定に至る経緯をこのように説明した。「プロスポーツの興行としては通常開催、延期、無観客での実施、そして中止の4通りがあります。通常開催は難しいという結論に達したが、お客様が入ってこそのプロのイベントというのが正しい考え方だろうということで前回は延期を選択しました。私たちは秋に始まり春に終わるシーズンスポーツ。チャンピオンシップの決勝は5月と決まっているから延期をすることは困難と判断し、131試合を無観客にしました」
そして、日頃から安全確保の配慮を各クラブにうながしていることも、今回の決定の決め手となった。「検温、手洗いといった基本的動作だけではなく、例えばドリンクボトルの共用を廃止する。ロッカールームでは大声で飛沫がないようなというところまで配慮していく。至近距離での会話を避け、チーム移動時も窓を開けるとか、十分配慮ができるような活動を盛り込んでクラブにお願いをしました。そういった対応を徹底して無観客試合での実施が可能だと考えています」
無観客での試合を行うにあたり、やはりチケット収入が得られないことはクラブにとって大きな痛手だ。
「昨シーズンのクラブ決算概要でだいたいチケット収入が50億ぐらいある。今年はもうちょっと高い予定でそれの10%強となると、5~6億ぐらいのチケット収入がなくなる。スポンサー収入は120億ぐらいあります。スポンサー収入に関しては10%強が本当になくなるのかは話し合いで決めていく。これがフルマイナスになるということではないと思いますが、最大で見積もると両方合わせて20億近いマイナスが出ることは理解しています。これがどんどん延長されて最後までリーグ戦を無観客でやらないといった事態になると、60億規模のマイナスが生じてしまう」
クラブによって資金力には大きな差がある。そのため同じ打撃でもそのダメージにも違いはあり、「クラブの意見は立ち位置によって違う」と話し、苦渋の決断だったと大河チェアマンも言う。
「例えばB1の強豪クラブ、B2の昇格が目前だったクラブからするとポストシーズンを重要視してほしい話になる。その他のクラブはなんとかホームゲームが1試合でも多い方が良いという中で、36クラブの最適化を図りました。再開を目指していたけど、延期が伸びれば伸びるほど経営上の苦しさが現れる。だけど、感染者の拡大やスピードを抑えるための国の施策に協力しないといけない。その中で無観客を選んだのが今回の一番のつらいところです」
Bリーグは話し合いを重ね、チャンピオンシップの短縮と無観客試合の決行を決めた。特に過去のサッカー界での『無観客試合』は観客のトラブルなどを原因とする制裁であり、懲罰の意味を含んでいたものが多かった。だが、今回Bリーグが下した判断はそうしたネガティブな発想ではなく、ファンファーストの視点に立っての英断と言えるだろう。
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