テーブス海

新型コロナウィルスの影響で様々なスポーツの開催延期が決まり、Bリーグもご多分に漏れずレギュラーシーズンの数試合が延期となった。多くのクラブやファンが失望する中、今シーズン途中に宇都宮ブレックスへ特別指定選手として入団したテーブス海は好機と捉えている。ピンチをチャンスに変える前向きなマインドを持つテーブスに話を聞いた。

複雑なシステムに「ミスをしているのを気付かないくらい」

──現在、リーグは中断期間を迎えていますが、プロの世界に揉まれるために日本に戻ってきたテーブス選手にとっては厳しい状況ではないでしょうか?

日本に帰ってきたばかりなので残念ですね。誰よりも試合をしたいと思っているのが自分なので。でも僕にとってはすごく大事な時間でもあります。チームに途中から入ったので分からない部分があり、まだ馴染めていない部分もあったので。

──プレーを見る限り、馴染んでいないようには感じませんでした。

オフェンスの面では自由にやらせてもらっていたので、馴染めているように見えてたかもしれません。ですが、それは周りの選手が合わせてくれていたのでそう見えているのだと思います。

そういう意味ではプレシーズンみたいな感覚で、みんなでイチから一緒にやれるのは、僕にとっては良いことです。特にディフェンス面では追いついていない部分があって、そこに取り組めるので、言い方は正しくないかもしれないですが時間を稼ぐというか、これだけ練習ができるのはラッキーな部分もあります。

──確かに、宇都宮に加入した選手はディフェンスシステムに慣れるまで時間がかかると口を揃えます。

そうですね、試合で自分がミスをしているのを気付かないくらい分かっていない状況ですね。1on1ではなく、ローテーションとかピックのディフェンスなんですけど、これまでの知識である程度できていると思っていたのに、練習が終わって映像を見せられると、チームのルールは本当はこうだとか、こういうところが間違っていると指摘されました。

オフェンス面ではセットオフェンスを覚えたり、コート外でもチームと馴染んでいこうと意識しています。特に途中からチームに入った自分にとって、良い人間関係を構築することは大事なので。

テーブス海

「迷いなく自分のプレーができたのは良い意味で想定外」

──ここまで11試合に出場し、10.6分の出場で6.3得点、2.0アシストという数字を残しています。ガードはチームを勝たせてこそという考え方を貫いていますが、自身のパフォーマンスについての評価はいかがでしょうか?

難しいところではあります。チームが成り立っているので、僕が出ても出なくてもあまり影響がないというか。プレータイム的に負けても僕のせいではないし、勝っても僕のおかげではないという感じなので。プレータイムが短いからこそ、すでに勝っているチームの中で自分が負ける原因にはなりたくないとは思っています。

──加入時点で予想していたことよりポジティブなこと、ネガティブなことはありますか?

宇都宮のディフェンスがここまで複雑なのは想定外でした。それでも最初から迷いなく自分のプレーができたのも、良い意味での想定外でした。もちろん自信がなければ日本に戻って来なかったですし、いずれ行けるとは思っていましたが、ここまでプレーできているのは想定外です。オフェンスのフルパワーを発揮するにはもっと時間がかかると思っていました。

ただ、それも自由にやらせてもらっているからです。最初は自分のやりたいことは控えめにして、チームに合わせないといけないと思っていました。ですが、みんなのバスケIQが高いのでどんどん合わせてくれるんです。お互いサポートできるというか、だからやりやすいです。おかげで自分の良いところを出させてもらっています。

テーブス海

「10分でも大学の30分と同じくらい疲れます」

──昨シーズンはアメリカのディビジョン1の大学で約30分のプレータイムを与えられていました。宇都宮に来てプレータイムは今のところ3分の1に減っていますが、そこに対する葛藤はないですか?

もちろん出たいとは思います。でも出れない理由が分かるので納得できないとは全く思いません。逆に今は10分出してもらえるだけでもうれしいですね。まだディフェンス面で不安があるのが事実なので、特に競ってる試合では出れないと自分でも分かっています。出たら全力でやることしか考えていないです。

ディフェンスも激しいし、常に考えなきゃいけない状態なので、プレータイムの質が違います。10分でも大学の30分と同じくらい疲れます。正直、今はBリーグで30分出場する姿は想像できないです。

──以前からそう言っていましたが、Bリーグのレベルはそんなに高いんですね。

個人技だけならディビジョン1はBリーグよりレベルが高いと思います。でもポテンシャルは高いですけど、知識不足を身体能力で埋めている感じで、Bリーグのほうがバスケットを理解していて、上手い選手が多いと感じます。

──なるほど、思い描いていた環境で研鑽を積めているんですね。シーズンは終盤戦を迎えますが、今後の目標をどこに設定していますか?

短い時間の割には良い数字を残せていますが、プレータイムが伸びた時にそれを維持できるかですね。自分のやりたいことを犠牲にしてでも、チームが勝つために何ができるかが大事になってくるかと思います。

今は自分をアピールする時期なので、出た瞬間にアタックすることを意識しています。セルフィッシュなプレーをするわけではなく、自分をアピールすることがチームのためになると思っているので。せっかく出してもらっても消極的にやったら意味ないじゃないですか。プレータイムが伸びれば、自分の影響力よりチームの流れを優先するべきと思っています。

──ではリーグ再開を前に、テーブス選手のプレーに期待するファンへメッセージをお願いします。

試合ができないことは本当に残念ですが、チーム全体でチャンピオンシップに向けて毎日取り組んでいます。僕も毎日ちょっとずつ成長しているし、再開した時にはより強くなったブレックスが見せられると思うので、引き続き応援よろしくお願いします!

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