取材・写真=古後登志夫 構成=鈴木健一郎

山本麻衣は名門の桜花学園で1年生から先発ポイントガードを務めてきた天才肌のプレーヤーだ。163cmとガードの中でも一際小柄だが、ボールを持ってドリブルし始めたら、ただ者ではないことが一目で分かる。アンダーカテゴリーの日本代表でも司令塔として活躍しており、高校生プレーヤーとしての経験は頭一つ抜け出している。

藤本愛瑚は177cmのフォワード。父はプロ野球のオリックス・ブレーブスの捕手だった藤本俊彦、母の山内美加(旧姓)はバレーボール選手としてオリンピックに出場、姉は東京医療保健大バスケ部でユニバ代表の藤本愛妃というアスリート一家に生まれ育った。体格を生かした1on1で試合の流れを変えられるエースだ。

ただ、超高校級の2人を擁しても、夏のインターハイは決勝でライバルの岐阜女子に敗れ、国体も出場を逃した。3年生の2人にとってウインターカップは最後の大舞台。自分の代で無冠に終わるわけにはいかないと意気込む2人に話を聞いた。

[INDEX]ウインターカップ2017プレビュー 出場校インタビュー

国体予選で負けて「3年生は引退」の非情宣告

──自分たちの代になってから今までを振り返ってもらえますか。

山本 新人戦で岐阜(岐阜女子)にボロ負けしてから、ちょっとずつ点差を詰めてやってきたんですけど、国体の予選でまたボロボロに負けて。その時から先生に「3年生は引退」と言われたんです。どうにかして自分たちの思いを伝えて、今は練習を頑張っています。

藤本 去年から試合に出ているのは山本だけで、あとは全員が今年から先発で出ています。最初はバラバラだったのが、だんだんまとまってきたんですが、今年の国体は東海で1チームしか出場できず、岐阜に負けました。岐阜は国体に出て、オールジャパンの予選で実業団のチームとも試合をしているので、すごくレベルアップしていると思います。自分たちは大会もあまりないので、モチベーションを落とさないよう意識しながらやっています。

──国体の予選で負けた時には、井上監督は本気で3年生を引退させようとしたんですか?

山本 先生から「やらせない」と言われ、3日か4日は体育館にも入れてもらえませんでした。それで「本当にやばいな」って。3年生で出ていたのが私と藤本ともう一人いて、その3人のせいで負けたんですけど、他の3年生も一緒に責任を取ろうとみんなで話し合って、どうにか先生に伝えられました。ウインターカップでしかリベンジができないので、モチベーションは高いです。

藤本 引退しろと言われて本当に嫌になったんですけど、私にはバスケしかないので。

山本「一戦一戦チャレンジャーの気持ちを忘れずに」

──新人戦、インターハイ、国体の予選とライバルの岐阜女子に敗れています。最後の大会となるウインターカップでリベンジするには何が必要でしょうか。

藤本 全員がもっと気持ちの強さを出すことです。新チームになった時から先生にずっと言われている課題です。試合でも大事な時にシュートを決めきれないとか、練習の雰囲気が良くても最後まで続かないとか、まだまだな部分があるので、3年生が中心となってチームを引っ張りたいです。

山本 岐阜女子のことばかり考えていると足元をすくわれます。私はそれを中学校で経験していて、それは後悔しか残らないので、一戦一戦チャレンジャーの気持ちを忘れずに戦っていきたいです。

──井上監督はインサイドが課題と話していました。藤本選手は3番(スモールフォワード)ですが、留学生のビッグマンとマッチアップすることも多いのですか?

藤本 半分くらいです。センターの選手が2年生で、身長も私とあまり変わりません。ディフェンスは技術というよりもポジションが大事だと思うので、3年生の自分が相手のエースを止めるような自覚を持ってやるつもりです。

藤本「自分が点を取っていかないといけない」

──山本選手はキャプテンとして、どんなことを心掛けていますか?

山本 みんな気持ちが弱くて、自分をうまく出せない人が結構います。それを出すために去年よりも自分から声をかけたり、チームのことを毎日考えてやってきました。プレーの面では、去年は得点を取る人が周りにいたんですけど、今年は藤本しかいなかったので、私と藤本が毎試合1人30点以上取れるようにとやってきて、シュートの精度は去年より確実に上がっていると思います。

──藤本選手はこの1年でどう成長したと自分で感じていますか?

藤本 私は3番ポジションで最初は外ばかりやっていました。先生から、だいたいミスマッチになるから中でプレーしろと言われていたんですが、中でのプレーを嫌がってしまう部分がありました。それで先生に怒られて、怒られたら態度にすぐ出してしまったりして。最上級生がそんなことをやっていたらチームの空気も乱してしまうので、直そうと思ってもなかなか直らなくて。身長のミスマッチは有利だし、自分が点を取っていかないといけないので、中からでも外からでも、どんな形であれ点を取れるようになりたいです。

──お姉さんの藤本愛妃選手がユニバ代表で活躍したのは励みになるのでは?

藤本 桜花はみんな本当にうまいので、お姉ちゃんはスタートじゃなかったんですけど、大学では結構試合に出ています。代表に選ばれるとは思っていなかったのでびっくりしました。刺激を受けるというよりは、焦りを感じます。励みにもなりますけど、自分は全然なので焦ります。