文=丸山素行 写真=FIBA.com

課題の出だしを改善し接戦に持ち込む

ワールドカップ1次予選の第2戦、日本代表はオーストラリア代表と対戦した。課題であるリバウンドで21-48と倍以上と圧倒され、善戦したものの格上のオーストラリアに58-82で敗れた。

日本の先発は富樫勇樹、比江島慎、馬場雄大、アイラ・ブラウン、竹内譲次。フィリピン戦ではベンチスタートながらエースの重責を全うして先発起用された比江島が、序盤から素晴らしいプレーを見せる。富樫がリングにアタックし、ディフェンスを収縮させてからのキックアウトでノーマークを作り出す。絶好調の比江島は2本の3ポイントシュートを含む、4本のシュートをすべて沈め10得点を挙げた。

それでも格上であり、高さで勝るオーストラリアにオフェンスリバウンドからの得点や精度の高い3ポイントシュートを決められ22-23とリードを許す。第2クォーターに入ると日本はフィジカルな1on1を止められず失点を重ねる。ゾーンに切り替えるもデザインされたオフェンスからノーマークを作られ、高確率の3ポイントシュートで徐々に点差が開いていく。

オフェンスでも強度の上がったオーストラリアディフェンスの前にリングにアタックする回数が減少し、外角の単発なシュートが増えて得点が伸び悩んだ。前半を終えて7-25と大きくリバウンドで水をあけられたこともあり、31-43と2桁のビハインドを背負った。

弱点のリバウンドを改善できず失速

後半に入ると日本は粘り強くプレッシャーをかけ続けるとともに、リバウンドの意識も徹底された。こうしてオーストラリアのシュート精度を徐々に狂わせると、ディフェンスからオフェンスにリズムが出てくる。比江島、アイラがタフショットを沈め点差をキープし、馬場がこの試合初めてとなる速攻からダンクを決めて流れを呼び込んだ。第3クォーターを19-17と勝ち越し、10点差に詰めて最終クォーターを迎えた。

篠山竜青のアグレッシブなディフェンスを中心に、ゴールを死守する日本。だがフィジカルで劣る分運動量でカバーしてきた日本は、この勝負どころで足が止まってしまう。1本目のシュートを防ぐもオフェンスリバウンドを取られ、セカンドチャンスから3ポイントシュートを許すなど、点数以上に重いダメージを受けた。

またディフェンスリバウンドが取れないことで、オフェンス回数も減少しリズムを失っていく。ズレを作れずタフショットを打たされ、ラスト7分間をまさかの0点に封じられた。残り7分半の時点で56-66と10点差で日本に逆転の可能性を残す展開だったが、その後は2-26と突き放され、58-82で敗れた。

オフェンス面の向上が急務

数字が示すように課題は明白だった。だがその一方でセカンドチャンスポイントさえ封じることができれば、世界ランク9位の相手にもクロスゲームに持ち込めることを証明し、ディフェンス面では一定の成果を挙げたと言ってもいい。また出だしの改善も収穫に挙げられる。

フリオ・ラマスヘッドコーチはこれまでの合宿でディフェンスに注力してきた。そのためオフェンス面は伸びしろしかない。

幸いにも次戦のチャイニーズタイペイ戦は2月22日と、この2試合で得た課題を修正するための時間がある。4チーム中3チームが1次予選を突破できるレギュレーションであり、次節のチャイニーズ・タイペイ戦は勝利が必須となる。東京オリンピックの出場枠を確保するため、代表強化はこれからも続いていく。