エース渡嘉敷とのコンビネーションは収穫
バスケットボール女子日本代表は、オリンピック予選でベルギーに遠征している。昨日深夜に行われた初戦のスウェーデン戦では、ファストブレイクと3ポイントシュートというオフェンス面での武器が出せずに苦しみながらも、後半になって実力を発揮。スウェーデンを突き放して最終的には75-54の勝利を収めている。
先発ポイントガードの本橋菜子は、前半は他の選手と同様にスウェーデンの圧力に苦戦したが、後半にはそれをスピードで振り切るようになって次々と得点を重ね、終わってみれば25分の出場で18得点6アシストと上々のスタッツを残した。
ヘッドコーチを務めるトム・ホーバスも「本橋が1本決めてドライブも入って、そこから相手のディフェンスが迷った」とその働きを評価する。
それでも、チームとして試合の入りが悪かったことで本橋自身は納得できていなかった。「後半は立て直せましたが、初戦でスタートで出させてもらって、出だしでああいう重いバスケットをしてしまったのはすごく反省です。自分がポイントガードとしてもっと周りの選手を動かせるようなコールだったりボールムーブメントができたら良かったと思います。2戦目、3戦目もそこを解決できるようにしたい」
全体的に動きが重く、チームとしての出来は必ずしも良くない状況で、エースの渡嘉敷来夢が21得点12リバウンドと奮闘。そこに本橋が勢いを与えたことで勝利に繋がった。この2人の連携が良くなっていることは、この試合の収穫と言える。渡嘉敷は長く代表の主力を務めているが、本橋は2018年が初代表で、渡嘉敷と一緒にプレーするようになったのは昨年からだ。それでも合宿と試合を重ねる中で、次第に呼吸が合うようになっている。
吉田亜沙美が復帰してもなお、今のチームで1番手のポイントガードは本橋だと指揮官のトム・ホーバスも認めている。だからこそ、本橋と渡嘉敷のコンビネーションが確立できればチームにとって大きな意味がある。
「チームが上手くいかない中、タクさん(渡嘉敷)がゴール下で身体を張ってくれたので、自分もついていかないといけないと思いました。練習中から積極的にコミュニケーションを取って『こういうところ、もうちょっと狙えるよね』と声を掛け合ったりもしています。そこで何本か良いコンビプレーも出せたので良かったです」と本橋も手応えを得ている。
「次にステップアップできるような試合を」
今回、ベルギーのオステンドで行われているオリンピック予選に日本代表は参戦しているが、出場国枠が適用されて東京オリンピックの出場自体はすでに決まっている。逆に相手はここを勝ち抜かなければオリンピックに出場できず、死にもの狂いでの戦いを挑んでくる。今回の苦戦はそんなスウェーデンに気圧された感が強かった。
「特には意識していないですけど、相手が真剣に当たって来るからこそ日本のバスケットをやるのが大事で、相手云々ではなくて自分たちが日本のバスケットをどれだけやれるかなので、最初から最後までしっかり出し切りたい」と本橋は言う。
「個人的な感覚だと、落ち着いて今まで通りの気持ちの持っていき方でやっています。そこはあまり変わりありません。ただオリンピックに繋がる大事な試合という意識はあるので、次にステップアップできるような試合をしていかないといけないなと思います」
一気にトップスピードに乗るドライブでスウェーデンのディフェンスを切り裂き、鮮やかなシュートを何本も決めたが、本橋に笑みはない。「今日は反省点がたくさんです。でも終わってしまったので切り替えて、この課題を次の試合で克服できるようにしたいです」
チームは出だしから快調とは行かなかったが、本橋のプレーにより軌道修正できた。国際大会では何よりも結果が大事。次のベルギー戦はホストチームであり、満員の観客の前で戦うことになりそうだ。完全アウェーの状況でチームの舵取りをする本橋の役割はより重要なものとなる。さらなる奮起に期待したい。