写真=Getty Images

事前に全員のプレーを映像でチェックして指導したKG

1年目の昨シーズン34試合で先発に起用されたバックスのソン・メイカーへの期待値は、開幕から高かった。今シーズンは開幕から先発に起用されたメイカーだったが、ディフェンスではファウルトラブルに苦しみ、オフェンスでも結果を残せない毎日が続いた。その結果、ヘッドコーチのジェイソン・キッドは、11月に入るとメイカーをベンチに下げている。

徐々にではあるが、メイカーは自信を取り戻し始めている。シュートも決まるようになり、ピック&ロール時のディフェンスではフットワークに気を配ってファウルの回数を抑えられるようにもなってきた。

復調が本人の努力によるものなのは当然だが、実は先日、ケビン・ガーネットがバックスの練習に参加し、メイカーを指導していた。ジェイソン・キッドとともに2000年のシドニー五輪で金メダルを獲得し、2008年にセルティックスに優勝をもたらしたガーネットがやって来たのは11月14日のこと。この時点でチーム全員のプレーを映像で確認しており、全体練習後に20歳のメイカーに個別指導を行なった。

メイカーは、『Milwaukee Journal Sentinel』にこうコメントしている。「復調は自分次第。彼からは、『スピードも敏捷性もあるのだから、得点を狙えるはずだ。あとは少し落ち着けばいい。ディフェンスの位置を見極めて、相手の動きを読んで、その上でアタックしろ』と言われた」

ガーネットは、チームメートへのパスを優先し積極的にシュートを打たないメイカーに声を荒げ、ジャンプシュートを打つ際には腹部を叩いた。メイカーがフリースローの練習を始めると、その後ろで故意にバスケットボールを強く弾ませもした。これらすべてが、試合中に求められる集中力を養うための行動だった。

ガーネットは練習中、「ソン、お前は何を考えている? 何を言っている? この練習場で誰よりもベストになれ。それがお前の夢だろう」と語りかけていたという。

昨シーズンもバックスの練習に姿を見せたガーネットは、このチームの可能性を感じているのだろう。バックスは10月下旬から4連敗を喫したが、今シーズン最長の4連勝を記録し波に乗りつつある。

レジェンドの叱咤激励を受け、メイカーが選手として一皮剥けるかどうか、楽しみでならない。