文=丸山素行 写真=B.LEAGUE
「やっとハシームの異次元の高さに慣れてきた」
横浜ビー・コルセアーズは故障者が続出した影響もあり、開幕から勝ち星を伸ばせずにいた。だが、昨日の富山グラウジーズ第2戦に勝利し、リーグ最下位から抜け出した。
ハシーム・サビート・マンカ、ウィリアム・マクドナルドの2人がインサイドでの攻防を制したことが勝因となったが、その能力を引き出したのは紛れもなく川村卓也だった。ドライブからマクドナルドとの空中プレーでバスケット・カウントをもぎ取ったプレーで、相手ビッグマンをコートから追い出し、サビートとのアリウープでとどめを刺した。
「やっとハシームの異次元の高さに慣れてきたというのもあります。僕がチャンスメークできれば彼も気分良くプレーできると思うし、それが得点につながれば僕も得点を取るために頑張らなくていいので。そういう意味で、チームとして良いリズムになる一つにアシストがあったと思います」とアリウープのシーンを振り返った。
アリウープは双方の意思疎通があった上で成り立つ。そのため一歩間違えればターンオーバーのリスクが伴う。呼吸を合わせるのはパスの出し手の役割だ。「自分より大きい選手につかれて出しにくい時もあると思うけど、それをできるのは今のチームの中で(田渡)凌か(細谷)将司か俺」と川村は言う。193cmの高さはここでも生きてくる。
「ただただディフェンスが悪い選手になっている」
得点頭であるジェフリー・パーマー不在の中で手にした勝利。新加入のマクドナルドを日本人選手がうまく使いこなせばチームは良くなると自信を見せる。「ウィルがゴールの近くでプレーしてくれることでハシームのリバウンド力も生きるので、新しい武器になりつつあると思います。長距離を使う時や、インサイドでプレーする時というのを日本人選手がうまくコントロールできれば、もっともっと彼らの存在は際立つと思うので、その辺は意識したいです」
チームの向上に手応えを感じる一方で、川村は自らのディフェンス力を課題に挙げた。「僕のディフェンスはチームの求めてるものに程遠いです。ディフェンスは反省することしかなくて」と珍しく弱気な言葉が続く。
「オフェンスの川村と言われてるけど、ただただディフェンスが悪い選手になっている印象があるので、最低限のディフェンス力はレベルを上げていかないと。今はチームに迷惑かけているので」と反省しきりだった。
「代表で戦える余力が自分の身体に今はないです」
その川村はワールドカップを戦う日本代表の予備登録メンバー24人に名を連ねているが、これまで強化合宿にその姿はなかった。「合宿以外で(フリオ)ラマスヘッドコーチと会って話しましたけど、練習には参加してないです」と川村は言う。
「やってみたい気持ちは非常にあります。しかし、自分のケガやチーム事情を話して、理解してもらった上で参加できていないという形です。まずは自分のチームを落ち着かせた上で、自分の身体を整えた上でパフォーマンスで協力できればいいなとは思います。ラマスさんに了承を得て参加を見送っている段階ではあります」
試合に欠場するほどの大きな故障にはなっていないが、度重なるケガに悩まされているという川村は、「今は自分に余力がない」と忸怩たる思いを正直に語った。
「代表で頑張って、チームのために頑張ってケガをするのは仕方ないですけど、代表で戦える余力が自分の身体に今はないです。今は横浜のためにギリギリの身体で、100%を使ってる自分からすると苦しいと思います。日の丸を背負って戦いたいという気持ちはありますけど、ただただ余力がない」
日本代表候補の選手は、程度の違いはあれど誰もが疲弊している。とりわけ川村はチームの不調と自身のケガという二重の苦しみを感じていた。それでもチームに明るい材料が見え調子が好転するのであれば、再び代表のために立ち上がってもらいたいと願う。
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