バスケ日本代表に電撃復帰した『ママアスリート』大﨑佑圭の覚悟「東京オリンピックで終わり、一本勝負です」
日本代表

バスケ日本代表に電撃復帰した『ママアスリート』大﨑佑圭の覚悟「東京オリンピックで終わり、一本勝負です」

2020/01/23

大﨑佑圭

結婚と出産を経て現役復帰、2017年以来の日本代表へ

1月22日、バスケットボール女子日本代表は、2月にベルギーで開催される東京オリンピック予選に向けた合宿を公開した。そこで大きなサプライズとなったのが、大﨑佑圭の代表復帰だ。長らく日本代表のセンターとして活躍し、2016年のリオ五輪でのベスト8進出に大きく貢献した大﨑は、結婚からの出産により2017-18シーズンを最後にコートから離れていた。それが今回、電撃的な代表復帰を果たしたのだ。

1年半以上に及ぶブランクという大きなハンデを承知した上で、彼女が再び代表でのプレーを目指す理由は、「東京オリンピックという大きな舞台を見過ごすことはできない」という思いだ。

実績十分の大﨑であるが、代表合宿の舞台に戻るまでには様々な困難を乗り越える必要があった。それは選手としてトップレベルでプレーするためのコンディションを取り戻すだけでない。「子供がいるので自分の気持ちだけではどうにもならないです。預け先だったりと問題だらけでした」と語るように、2018年12月に生まれた長女の預け先がなかなか見つからず、復帰に向けて本格的に始動したにもかかわらず、その活動を一時は中断せざるを得ない時期もあった。

大﨑は当時をこう振り返る。「最初は保育園に当たってみましたが、当時は子供も0歳で、私が働いているわけでもなかったので駄目でした。そこから9月に預け先の問題がクリアになりそうで、よしできるぞとなり、母校の東京成徳高校で身体を動かしたりとか少しづつ準備はしていました。それが10月に入った時に、子供の預け先がなくなってしまって、結局私もまた動けなくなってしまいました。ここで宙ぶらりんの状況になってしまいました。ただ、あきらめるならあきらめる。やるならやるとはっきりさせようと、トム(ホーバス)と話しました。その後でいろいろと道筋が見えてきました」

最終的に「自分で市の体育館を借りていました」というトレーニング中は一時保育施設に娘を預け、今は遠方にある夫の実家に預けて代表合宿に参加している。

大﨑佑圭

「どれだけラムとマキちゃんを休ませられるか」

「12月に入ってから急ピッチで身体を作り、1月に入ってからバスケをするようになりました。実質1カ月半です」と語るように、復帰に向けての本格始動からは日が浅く、特にスタミナ面で不安があることは否めない。

しかし、彼女はトム・ホーバスヘッドコーチの下でプレーしたことがあり、その百戦錬磨の経験には指揮官も大きな信頼を寄せている。そこには大﨑も手応えを得ている。「トムとは長いことやっていました。彼のスタイルに大きな変化もなく、それは対応していけるという感じがしました。説明しなくても大丈夫だよね、と言ってもらえましたし、安心感を持ってコーチが使ってくれるようになっていきたいです」

実績は代表メンバーの中でも吉田亜沙美や渡嘉敷来夢と同等で、若手とは比較にならない大﨑だが、今はあくまでトライアウト中の立場だ。その中で、彼女がオリンピック代表の12名入りに向けてアピールすべきと考えているのは、何よりも堅実なディフェンスであり、渡嘉敷来夢と髙田真希の負担を軽減させられる存在になることだ。

「特にセンターで求められているのは得点ではなく、どれだけラム(渡嘉敷)とマキちゃん(髙田)を休ませることができるか。2人の交代要員として、ベンチから安心して名前を呼ばれる選手になれるか。そのポジションを埋められたらなと思います」

ただ、オフェンスでは指揮官ホーバスから「シュートが上手くなった」と褒められている。本人も「そうなんです(笑)。ブランクあるのに、なぜなのか自分でも分からないですけど、良いリフレッシュができたのかもしれないです」と答える。

大﨑佑圭

「どんな結果に終わってもやってみる価値はある」

今回の代表合宿参加が本格的な現役復帰かといえば、彼女が考えているのは「東京オリンピックで終わりです、一本勝負です」とオリンピックに出ることのみ。そこには並々ならぬ決意がある。

「一回コートから離れた身で、若手が頑張っていてメダル獲得を狙うチームの中に入ることを目指すべきか悩んだのは事実です。それでもここまで来たらどんどん自分を出してチャレンジしていこうと腹をくくっています。プレーでは衰えだったり、今までできていたのにできなくなったこともあると思いますが、うまく経験値を使って存在感をアピールしていきたい」

日本のスポーツ界全体、また特にバスケットボール界においては、結婚と出産を経てオリンピックを目指すというのは稀有な挑戦だ。そこは大﨑も強く意識している。「このチャレンジが失敗でも成功でも、何かしら今後の女性アスリートの道を切り開いていけるのではないか。どんな結果に終わっても確実にやってみる価値はある。その言葉に支えられて立っています」

彼女が語るように、これから健在ぶりを示せて東京オリンピックの舞台に立てるかはまだ誰にも分からない。ただ、現時点でも大﨑の挑戦はすでに大きな反響を呼び起こし、女性アスリートの新たな可能性を開くものになっている。オリンピックの金メダルと前人未到の挑戦を続けるバスケットボール女子日本代表は、新たなパイオニアが加わることでますます見逃せないチームになっている。

RECOMMEND