文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

思い切りの良いスティールからの速攻で主導権を得る

アジア選手権で快進撃を続けるU16日本代表が、準決勝でニュージーランドと対戦した。オセアニアのフィジカルと独特のリズムに序盤は戸惑ったが、すぐさま立て直して『走るバスケ』を展開。97-65で大勝している。

立ち上がりは日本が機動力を生かし、3ポイントシュートとセカンドチャンスポイントで先行するが、ニュージーランドもすぐに反撃。大型ポイントガードのレジャーウォーカーがフィジカルでペイントエリアまで割って入りパスをさばく攻めに対応できず、劣勢を強いられた。それでも決してスムーズとは言えないボールハンドリングに隙を見いだし、思い切りの良いスティールから連続で速攻を決めて流れを呼び戻す。第1クォーターのラスト3分半はスピードで振り回しての13-0のランで25-16と先手を取った。

日本は守備も冴える。レジャーウォーカーから点取り屋のププケ・ロバーティのホットラインを分断。フィジカルで当たり負けしても、ぎりぎりまで粘るシュートチェックでイージーシュートの機会を与えない。決してスキルが高いとは言えないニュージーランドに対し前から激しくプレッシャーをかけてターンオーバーを誘発し、またリバウンドも高さではなく運動量で互角以上に渡り合った。

オフ・ザ・ボールの動きで質と量ともに圧倒

48-29で始まった後半も日本は良いペースを保ち続ける。アーリーオフェンスではどの選手も迷わずアタックし、セットオフェンスになればオフ・ザ・ボールの動きで質と量ともに圧倒。積極性はリバウンドでもプラスに働いた。特にオフェンスリバウンドへの執着心が強く、セカンドチャンスポイントを重ねた。

シュートタッチは決して良かったわけではない。だが速攻でイージーシュートの機会を数多く作り出したこと、さらには多くのターンオーバーを誘いオフェンスリバウンドを取ることでポゼッションの数を増やしたことで、ニュージーランドとの点差をどんどん広げていった。

第4クォーター残り5分43秒、中学生ポイントガードの江村優有からマヤ・ソフィア・マッカーサーへのポストアップ、そこで注意を引き付けて平下愛佳がイージーシュートを決めて81-56。これで勝敗は決したが、タイムシェアを徹底する日本は最後まで足を止めず、最後は残り6秒から相手のスローインを江村がかっさらってワンマン速攻。結果、日本が97-65で大勝した。

ベンチスタートの首藤がゲームハイの24得点を記録したように、ベンチスタートの選手による得点が51点と総得点の半分を超えた。エースの林も19得点で期待に応えている。中澤梨南は6得点8リバウンド、マッカーサーは6得点6リバウンド5スティールと攻守を支えた。

明日は決勝戦。準決勝で中国を相手に86-46と大勝したオーストラリアが相手。オセアニアのチームがアジアに編入されて優勝のハードルは高くなったが、チャンスは十分にあるはずだ。日本時間23時30分にティップオフとなる。