文・写真=鈴木栄一

「相手のペースになろうとしたところでよく我慢した」

10月25日、アルバルク東京はホームで開催された川崎ブレイブサンダースとの激戦を99-91で制した。第1クォーター、A東京は12点のリードを許すも、第2クォーターで1点ビハインドと互角の展開に持ち込む。一進一退の攻防が続いた熱戦に終止符を打ったのは、A東京の1点リードで迎えた残り47秒に田中大貴が決めた3ポイントシュートの一撃だった。

この日、3ポイントシュート4本中3本成功を含む、シュート16本中11本成功で25得点をマークした田中は、試合をこう振り返る。「出だしで少し点数が開いてしまい、相手のペースになろうとしたところでよく我慢し、前半を1点ビハインドで終えられた。あそこでゲームを立て直すことができたのが大きなポイントでした。今日の試合はメンバー全員が集中力を切らさず最後まで戦い続けた分、自分たちに流れがきた。我慢できたことで勝てた試合だと思います」

また、1対1で守るスタイルを貫いた結果、40得点を取られた川崎の大エース、ニック・ファジーカスについては「40点は取られすぎだと思います。ただ、考え方を変えれば40点を取られてもウチは勝っています」とコメント。

さらに「前半は自分たちがスカウティングしていたことをやれずにイージーな点の取られ方をされていました。彼はすごい選手で、上から決められる分には仕方がないですが、自分たちのミスで点を与えるのはいけない。第3クォーターではフリースローを点を与えましたし、そういうところを減らしていければもっと楽な展開になるのかなと思います」と、次の対戦ではもっと点数を抑えたいと続けている。

「今日みたいに得点で引っ張るのが一番の理想です」

田中個人としては、過去5試合連続で11得点以下に終わるなど消化不良なゲームが続いていた中で、この強豪対決でのチームを勝利に導く大暴れとなった。

「今日の試合に入るまで、自分のリズムでプレーできていなかったところがあり、少しモヤモヤしているところがありました。今回は試合が始まる前から身体がすごく軽いというか、良い感じがウォーミングアップの時にもありました。ただ、最初の2本のシュートはまたやってしまい、今までと一緒かと頭によぎりましたが、そこから開き直ってやったのが良かったと思います」

また、田中はここまでのプレー内容についてこう語る。「毎試合こういうパフォーマンスができればチームとしても楽になりますし、自分としては毎試合これをスタンダードにしていきたい思いはあります。しかし、それをできていなかったのが今までの試合です。自分はシュートだけでない。シュートが入らなくても違うことで貢献できればいいと思いますが、今日みたいに得点で引っ張るのが一番の理想です」

得点を取れればそれに越したことはないが、シュートの調子が悪い時でもディフェンスやアシストでチームの助けにならなければいけないと強く意識する。実施、ここまでの1試合平均アシスト5.3はチームトップであり、チャンスメークでの貢献も大きい。

「試合を重ねるごとに一歩ずつ成長していきたい」

22日の栃木ブレックス戦を含め、接戦で勝つことは大きくメンバーが変わった今のA東京にとっては大きな価値のあることだ。「若いメンバーが多いですし、こうやってタフなゲームを経験して勝ち切ることが今の自分たちに必要です。こういった経験を繰り返すことでどんどん成長していけます。(小島)元基、(馬場)雄大、(安藤)誓哉といった若手は成長していますが、自分も含めてまだまだ向上しないといけないこともあり、試合を重ねるごとに一歩ずつ成長していきたいです」

今オフ、A東京は伊藤大司、松井啓十郎とチーム在籍年数の長いベテランがチームを去った。田中は今まで以上にリーダーとして、そしてプレーメーカーとしてチームを牽引すべき存在となっている。そして彼が躍動した時のオフェンス力はリーグ屈指の爆発力であることをあらためて証明した一戦となった。