「ヘッドコーチが使ってくれるのはありがたい」
インカレを終えてBリーグへとやって来た大学4年生の奮闘が目立つ中でも、とりわけ大きなインパクトを残しているのがサンロッカーズ渋谷の盛實海翔だ。多彩なオフェンス能力で専修大を2年連続インカレ決勝に導いた盛實は、昨シーズンに特別指定選手としてSR渋谷に加入すると、20試合出場で1試合平均14分出場とローテーション入りし、貴重な戦力となった。
今シーズンも12月25日のレバンガ北海道戦からベンチ登録を果たすと、ここまで平均20分近くのプレータイムを得ている。シーズンデビューからの5試合で平均8.6得点は、途中加入の大学生であることを考慮すれば見事な数字だ。他にもデビュー戦から3試合連続で3アシストと、視野の広さから来る非凡なパスセンスを披露している。
盛實は、自身の状況をこう捉えている。「まだ合流して間もないですが、スタッフの方たち、先輩の方たちがすごくアドバイスをくれて助けてくれているおかげで、プレー面でも比較的良い感じで入れています。昨シーズンからやっていたこともあって、ヘッドコーチが使ってくれるのはありがたいです」
昨シーズンとは選手が大きく入れ替わり、積極的な選手交代によって激しいプレッシャーを40分間続けるチームへと変貌した今シーズンのSR渋谷を次のように見ていた。
「単純にディフェンスをアグレッシブにやって、選手交代もどんどんやっていく。大変そうだなと見ていましたが、自分もチームの一員としてやっていくためにはもっとディフェンスを頑張らないといけないです」
「すぐに出られるなんて全く思っていなかったです」
外から見れば、スムーズにチームに溶け込んでいるように見える盛實だが、本人は「すぐに出られるなんて全く思っていなかったです」と言う。だからこそ、「故障者がいるから使われているところもあると思うので、必死になってこれからもローテーションに入り続けられるように」と、プレータイムの確保に懸命であることを強調する。
あらためて自分のストロングポイントについて尋ねると、「ピック&ロール、3ポイントシュートに思いきりの良いプレーです。ミスをできるだけなくして、自分らしいボールハンドリングも見せていきたい」と語る。
その上で現状の自己評価をこう言い表している。「ポジティブなところはシンプルに試合に出ています。足りないところがありますが、経験を積ませる意味もあって使ってもらえています。そこでシュートを決めたり、パスを通せているのは良い部分です。課題はディフェンスとフィジカル。でもプロでそこを改善していかないといけないのは分かっていたので、覚悟を決めて100%のディフェンスから頑張ります」
いよいよ始まる天皇杯は、優勝するためには4日間で3試合をこなす一発勝負の短期決戦。それだけに、いかに勢いに乗れるかがリーグ戦よりも大事な要素となる。盛實はまだまだ荒削りなところも目立つが、ステップバックからの3ポイントシュート、守備のわずかな隙を見逃さずゴール下に通すピンポイントパスなど、彼だからこそできるビッグプレーで試合の流れを変えられる能力の持ち主。一発勝負への強さは大学時代の実績が端的に物語っており、天皇杯でSR渋谷が勝ち抜くための『Xファクター』として注目だ。