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スペインリーグ時代からの理学療法士をつけ練習量を調整

カーメロ・アンソニーから『ニックスの顔』という重役を引き継いだクリスタプス・ポルジンギス。ニューヨークのメディアはアメリカでも辛辣なことで知られ、少しでも不甲斐ないパフォーマンスを見せれば徹底的に叩かれる。ポルジンギスの課題はシーズンが進むにつれて調子を落とすこと。過去2年と同じようにレギュラーシーズン後半にスタッツを落とせば、批判の的となるのは目に見えている。

ポルジンギスもそれは理解しており、長く過酷なシーズンを戦い抜くための手段を整えている。この夏、ポルジンギスはNBAに来る前にプレーしていたスペインで徹底的なフィジカルチェックを行った。その結果、『オーバートレーニング状態』であることが判明した。

「夏に代表チームでプレーした時もフレッシュな状態だと感じていたし、試合後の回復も早いと感じていたんだけど、僕は練習をやりすぎる傾向にあるようだ」とポルジンギスは語る。

今回のフィジカルチェックを勧めたのはスペイン時代から親交のある理学療法士、マノロ・バルディビエソ。ポルジンギスはあらためて彼に依頼し、今シーズンを通じてニューヨークに来てもらい、練習量とコンディションを見てもらうことにした。

この2シーズン、後半戦になると体重が落ちていた。昨シーズンはクリスマスを境にパフォーマンスを落とした。そして2シーズンとも、レギュラーシーズンのラスト2週間をケガで欠場している。ポルジンギスは言う。「オーバートレーニング状態にならないよう心掛ける。試合翌朝の練習も自重する。これまで通りにやっていたら体重を維持できないし、シーズン終盤は疲れ切った状態だった」

今シーズンは2試合を終えて平均32.0得点、8.5リバウンドを記録しているポルジンギス。彼の目標は、オールスター選出であり、1試合平均30得点であり、シーズンを通じて最も成長した選手に送られるMIP賞、それから最優秀守備選手賞だ。

「1試合30得点は大変だけど、それだけ生産性の高い選手になりたい。そうすればチームの勝利に貢献できる。ただ、大事なのは1試合30得点ではなくて、チームが勝つこと。そのために必要なことをできる選手になりたい」

頑張る気持ちがオーバートレーニングを引き起こし、シーズン終盤には『ガス欠』になってしまう。不調のプロセスが分からなければ改善できなかった問題だけに、原因を突き止められたことは幸いだった。これまでの習慣を変えるのは大変だろうが、リカバリーを重視することなくキャリアを長く続けることはできない。あとは結果を残し、名実ともに『ニューヨークの顔』としての力を証明するだけだ。