文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

16点のリードを奪った北海道のパフォーマンス

レバンガ北海道と川崎ブレイブサンダースの第2戦。終始北海道が主導権を握ったが、川崎が悪い流れの中でフリースローでつなぎ、延長の末に前日の雪辱を晴らした。

北海道は試合開始から川崎の速い展開に飲み込まれ、0-7と走られたところで早くもタイムアウトを要求。そしてここから見事なカムバックを見せる。まずは川崎のエース、ニック・ファジーカスにダブルチームを仕掛けて起点を作らせない。ディフェンスを立て直したことでオフェンスにもリズムが生まれ、人とボールが動きバランス良く得点を重ねた。多嶋朝飛が3点プレーとなるバスケット・カウントを沈めて同点に追い付くと流れは完全に北海道に。

残り4分45秒にはファウルのコールに納得がいかず、オーバーアクションをした篠山竜青がテクニカルファウルをコールされる。第1クォーターで3つ目のファウルとなりベンチへ下がった。その後はディフェンスに定評のある関野剛平が第1クォーターから9得点を挙げる奮起を見せ、北海道が28-18と先行した。

第2クォーターに入っても北海道の流れは変わらない。オープンショットが決まらない川崎に対し折茂武彦が次々とタフショットを沈め9得点を荒稼ぎ。開始4分でリードを16点に広げた。

だがここで川崎が立て直す。ゾーンディフェンスで北海道オフェンスを止めると、ここから徐々に流れは川崎へ。チームのオフェンスが噛み合わない中、ファジーカスが6本のフリースロー6本でつないでビハインドを9点にまで戻した。

ハーフタイムを挟み、川崎が試合巧者ぶりを発揮し、前半は苦戦した北海道ディフェンスにアジャストする。ファジーカスはダブルチームに来たところで球離れを早め、周りの選手が流動的に動きオフェンス有利な状況を作り出した。後手に回った北海道はファウルがかさみ、開始2分40秒でチームファウルが5に到達。川崎はフリースローで加点しジワジワと差を縮めると、ここまで出番のなかった篠山の3ポイントシュートで1点差に迫り、最後のポゼッションで藤井祐眞がミドルシュートが決まり、53-53と同点に追い付いた。

互いの強みを出し合う接戦はオーバータイムへ

同点で迎えた最終クォーター、ジュフ・バンバのバスケット・カウントで川崎が逆転すると、ここから一進一退の攻防が続く。長谷川技に3ポイントシュートを沈められ6点差とされるも、北海道はすぐさまグレゴリー・ウィッティントンとマーク・トラソリーニの3ポイントシュートで同点に追いつくなど、互いにベストプレーで応戦した。

68-68の同点で迎えた1分11秒、ウィッティントンがローポストから巧みなスピンムーブでゴールを奪い勝ち越す。それでもジョシュ・デービスにパワープレーからゴール下をねじ込まれ再び同点とされた。その後互いにゴールを奪えず試合は延長戦へ。

第4クォーターに入った時点で互いにチームファウルは5を超え、延長戦はそれが持ち越される。結果的にフリースローが勝敗を分けた。関野のスティールからの速攻でウィッティントンのアリウープが決まり北海道が先制するも、川崎がフリースローで逆転。川崎は延長に入ってディフェンスの強度がさらに高まり、ダブルチームからのローテーションの前に北海道に攻めの形を作らせなかった。

残り30秒、多嶋朝飛が執念の3ポイントシュートを沈めて粘りを見せる北海道。3点差で残り14秒という状況で最後のポゼッションを得るが、ここでも良い形で攻めることができず。折茂が打たされたタフショットが外れ、77-80で北海道は接戦を落とした。

多嶋「やっていこうとしているスタイルに間違いはない」

北海道は折茂の18得点(チームハイ)を含む4人が2桁得点を挙げ、バランスを良いオフェンスを展開したが勝利に結びつかなかった。川崎はファジーカスが30得点23リバウンド(8オフェンスリバウンド)と圧巻の活躍。ファウルトラブルに陥りプレータイムが制限されたものの、篠山も終盤の勝負どころで優れたパフォーマンスを見せ、13得点を記録した。

特筆すべきはフリースローの数だ。北海道の12本に対して川崎は42本。終盤に成功率は下がっていったが、前半の悪い時間帯にフリースローでつないで劣勢を耐えた。さらに延長での10得点のうち8点がフリースローによるもの。北海道にとってはフリースローの大事さを痛感した試合になった。

接戦を落とす悔しい試合だったが、川崎を相手に1勝1敗、内容も互角だったことは北海道にとって大きな収穫。水野宏太ヘッドコーチは「強豪の川崎にチームとしてしっかり戦えたことは、これから長いシーズンを戦う中での一つの自信にしていきたい」と収穫を語る。

13得点5アシストと川崎相手に堂々のプレーを見せた多嶋は悔しさとともに手応えも語った。「悔しいです。ただ、今レバンガとしてやっていこうとしているスタイルに間違いはなく、今後、質だったりコンビネーションを高めていけば、より強いチームになれると自分たちに期待を持っています。このリーグは簡単な試合は一つもないので、しっかりどのチームに対してもリスペクトを持って、挑戦者として全力で戦っていきたい」

一方、川崎にとっては苦しみながらの勝利。ファジーカスは淡々と得点を量産しているが、他の選手の調子が上がらない苦しい状況で粘り、何とか1勝を拾った。キャプテンの篠山はこう語る。「いらないファウルから始まり、いらないミスもありましたし、反省する部分ばかり。ただ、キャプテンとしては今あまり絶好調の選手がいない中で、チーム全員で苦しみながらもディフェンスとリバウンドとルーズボールで勝利できたことは非常にプラスだし、良い勝利だったと思います」

敗れはしたが、「今シーズンの北海道は強い」と印象付けるパフォーマンスだった。月曜の試合にもかかわらず北海きたえーるに3225人もの観客が集まり、チームを後押ししたのも大きい。超激戦区と化した東地区において、北海道の存在はこれからさらに大きくなるかもしれない。