文・写真=鈴木栄一

「栃木戦で連勝できたことは自信につながります」

先週末に行われたBリーグ第3節、千葉ジェッツは敵地に乗り込んで昨シーズン王者の栃木ブレックスと対戦した。14日の第1戦は残り5分から14点差を跳ね返す大逆転勝利。そして15日の第2戦は序盤から圧倒して77-54で圧勝した。

この2日間、千葉の富樫勇樹は初日に15得点6アシストをマーク。さらに2日目には8得点10アシストと中心選手としての役割を遂行し、チームを連勝に導いた。15日の試合後、富樫は栃木との連戦をこう振り返っている。「選手それぞれが昨日のゲームを見直し、個人、チームとして修正した結果が今日の勝利につながりました。昨日の第4クォーターの残り5分が大きく、それが連勝につながりました。今シーズン最初の栃木戦で連勝できたことは自信につながります」

そして「ディフェンスが良かったことに加え、オフェンスもチームとしてのタイミング、スペーシングが良くシュートが入りました」と、この日の圧勝劇をまとめた後、攻守ともに狙いがばっちりハマったと続ける。

まず、攻撃面ではシュート成功率10本中9本成功で18得点を挙げたマイケル・パーカーがキーマンとなり、彼の持ち味をチームとして引き出せたことが大きいと語る。「特に栃木さんを相手に試合をしている時は、昨シーズンからパーカー選手など4番ポジションを守っている選手にかなりヘルプで寄られていました。実際、このポジションがオープンになるので、自信を持ってシュートを打ったり、攻めて行こうとヘッドコーチも言っていました。そしてチームとして、オープンショットを作れたので、今後も続けていければと思います」

また、守備に関しては、「どの選手にどのプレーをさせるのか、徹底させられたことが良かったです」とチームプランをしっかり遂行することで、ターンオーバー奪取からの速攻などイージーショットの場面につなげた。

「今シーズンはよりやらなくてはいけない」

これで千葉は開幕6試合で5勝1敗とスタートダッシュに成功。富樫自身も1試合平均14.5得点、7.5アシストを見事な数字を残している。一方で、ターンオーバー数も平均3.7と少なくない。ただ、これはチャンスメーカーとして仕掛けていくリスクを負っており仕方ない面もある。ただ、もちろん本人としては改善できる箇所はあると考えている。

「あそこまでボールを持ってクリエイトしていれば仕方がない部分はあると思います」とターンオーバーについて触れた富樫はこう続ける。「もったいないものが多すぎるので減らしていきたい。今日はそういう面ではチームメートをしっかり見れていました。チームバスケットボールがうまくいっている時は、スペーシング、タイミングが良いのでオープンの選手が見つけやすい」

富樫がボールを持つ回数が増えたのは、今オフにおけるメンバー変更も大きく影響している。昨シーズンの千葉には、タイラー・ストーンという調子の波も大きいが、個人で打開する能力に優れるとともに、良くも悪くも1対1での勝負を好むスコアラーがいた。そしてこの夏、さらなる一体感を追求するチームはストーンと袂を分かった。

その結果、富樫には昨シーズン以上に、特に勝負ところにおいてチャンスメーカーとして、そしてスコアラーとしての責任が増している。「正直、昨シーズンはタイラー選手が出ている時は半分くらいボールを預けていれば、何かやってくれるという気持ちはありました。ただ、今シーズンはそうはいかない。自分が出ている時間は得点を挙げたり、周りをオープンにする仕事をよりやらなければいけないです」

「特に自分のピック&ロールからズレを作るのが大事」

千葉の新加入メンバーは、ゴール下での1対1に優れたギャビン・エドワーズに加え、3ポイントシュートをどんどん狙っていくトニー・ガフニー、アキ・チェンバースといった周りとのコンビネーションでこそ光る選手が揃う。だからこそ富樫は「彼らの良さを出すには、特に自分のピック&ロールからズレを作るのが大事。これからしっかり精度を上げていきたいです」と言う。

昨シーズン以上にファーストオプションとしてアタックしてチャンスを作り出す攻撃のクリエイターとしての役割が大きくなっている富樫。もちろん、彼にかかる負担は大きいが、それだけの重責を担える力を持っていることを改めて示したこの2日間だった。