「ディフェンスあってのアルバルク」と守備を強調
昨日行われたアルバルク東京と横浜ビー・コルセアーズの一戦は、失点を57点に抑えた上で相手のゾーンディフェンスを攻略したA東京が82-57と完勝した。
攻守両面で目立った働きをしていたのが安藤誓哉だ。特にディフェンスでは前線から激しいプレッシャーを与え、横浜のガード陣のゲームメークを遅らせた。いつも以上にアグレッシブだったそのプレーについて、「第1節、第2節と向こうが負けた後、激しく来るのに対して挑み方が足りないと言われていたので、今日こそはもっと相手にプレッシャーをかけようと思っていました」と安藤は説明する。
今シーズンからA東京を指揮するルカ・パヴィチェヴィッチは、日本代表のテクニカルアドバイザーとしてもディフェンスに注力していた。ルカの信条とするインテンシティの高いディフェンスを選手たちはコートで遂行した。「第3クォーターで崩れたと思います」と安藤が言う、後半立ち上がりの10分で喫した失点はわずか6。2戦連続で横浜を50点台に封じ込み、安藤は「ディフェンスあってのアルバルクだと思うので」とディフェンスの勝利を強調した。
激しい打ち合いとなり97失点を喫した新潟アルビレックスBBとの第2戦を例外とすれば、他の5試合での平均失点は62.4。指揮官もメンバーも刷新された新チームで、ダブルチームやゾーンといったチームディフェンスよりも、個人が1on1に負けないことが堅守を支えている。
「誰を引き付けて、誰にパスをするかの状況判断」
昨シーズンに引き続き高いオフェンス力も健在だ。昨日の試合では完璧にゾーンディフェンスを攻略した。ゾーンの攻略には外角のシュートが必要不可欠となる。ディフェンスを動かしノーマークを作っても、フィニッシュが決まらなければ相手の思うツボだ。安藤は3本の3ポイントシュートをすべて沈め、効率良く13得点を挙げた。
その安定したシュート力があるからこそ、ディフェンスはチェックに行かざるを得なくなり、ドライブが生きてくる。安藤はディフェンスを切り崩しゾーンを無効化。2アシストは数字だけ見れば物足りないように感じるが、言わば『アシストのアシスト』を何度も供給していた。「アルバルクのゾーンオフェンスはガードが起点で、スペースができてきていたので、そこでギャップを突いて良い攻め方ができたと思います」と、安藤自身も手応え十分だったようだ。
また「ピック&ロールして誰を引き付けて、誰にパスをするかの状況判断をしっかりすることが大事。どうやってクリエイトするかというところです」とポイントガードとしての創造性がより必要と語った。
リーダーシップをまとい、さらなる高みへ
ポイントガードは『コート上の監督』と呼ばれることもあり、リーダーシップが問われるポジションだ。昨シーズンの秋田ノーザンハピネッツ時代には、平均33.8分というリーグ最長の出場時間に加え、得点にゲームメークと安藤にかかる負担は大きかったが、そういった意味ではリーダーシップは自ずとついてきた。安藤も昨シーズンを振り返り「分かります」とうなずく。
だが今いるA東京では新旧代表選手が所属し、経験豊富な選手が揃っている。その中で若い安藤がリーダーシップを発揮することは容易ではない。それでも「こうやってタレント集団のアルバルクに来ましたが、自分のいる立ち位置はポイントガードなので、リーダーシップはもっと発揮していきたいです」とコート上でリーダーシップを取る気概は持っている。
まだ個のイメージが強いA東京ではあるが、試合を重ねるごとに連携が高まり、チームとしての完成度は上がってくるはず。その過程で安藤がどこまでリーダーシップを発揮できるか。安定感と創造力を兼ね備えた『真のリーダー』の誕生が待たれる。