文・写真=鈴木栄一

シーソーゲームの行方を決めたのは終盤の堅守

10月14日、サンロッカーズ渋谷がホームで名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦した。試合の大半で追いかける展開を耐え、第4クォーター残り約5分を無失点に抑えるなど終盤に圧倒。87-81の見事な逆転勝利を収め、連敗を3でストップ。ホームでの今シーズン初勝利を挙げた。

SR渋谷は長谷川智也の得点などで11-3と先行し、第1クォーターで26-21とリードを奪う。しかし、第2クォーターに入ると名古屋Dは、柏木真介がこのクォーターだけで3ポイントシュートを3本中3本成功を含む11得点をマークするなど反撃。3ポイントシュートを16本中9本と高確率のアウトサイドシュートで名古屋Dが48-44と逆転して試合を折り返す。

第3クォーターに入っても名古屋Dの流れは続き、残り約4分にはこのクォーターで10得点を挙げたジャスティン・バーレルのジャンプシュートでリードを8点にまで広げる。ここからSR渋谷が盛り返し3点差に詰め寄る、第4クォーターに入ってジョシュ・ハレルソンのバスケット・カウントにより70-70と追いつく。だが、名古屋はこの試合18得点を挙げたルーキー安藤周人の活躍などで残り約5分で81-75と突き放した。

しかし、SR渋谷はここから伊藤駿の3連続得点により残り1分45秒で82-81と土壇場で勝ち越し。そして残り1分にベンドラメ礼生が3ポイントシュートを決めて突き放すと、残り約5分を無失点に抑えるディフェンスも光り勝利した。

前節の反省から攻守を改善、粘り強いバスケを展開

3連敗となった前節の三遠ネオフェニックス戦の試合後、SR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは、「ディフェンス、オフェンスとも我慢ができなかった」と話していた。しかし、今日は「我慢比べのような試合でしたが、最後は自分たちがディフェンスで粘り、オフェンスでは強い気持ちで攻めてシュートを決めたのが結果につながったと思います」と、先週の反省を生かせたことを勝因に挙げた。

また、第3クォーターまでで68失点と相手に高確率で外角シュートを決められていた守備を、第4クォーターは残り約5分の無失点など13失点に抑えた変化について次のように語っている。

「まず、ボールプレッシャーについて、オフボールのスクリーンでアグレッシブにファイトすることで、相手に高い位置でボールを持たせるようにしたのが良かったです。前半は相手のピック&ポップに対しガード陣がスクリーンでファイトする積極性が、終盤に比べると不足していました。その結果、ビッグマンがヘルプに行くことにより、相手のビッグマンが空いてしまう。それが最後はガード陣が頑張ってことで、ビッグマンがヘルプにいく必要が減りました。ガード陣のファイトに、リバウンドを全員でしっかり取りにいったことです」

「特にサクレ選手のインサイドを止めらなかった」

オフェンス面では、ロバート・サクレが20得点、長谷川とハレルソンが14得点など5人が2桁得点をマーク。開幕4試合はすべて66得点以下だったのが、この日は87点の大量点を記録。その理由として、「今までセットにこだわりすぎたことで積極性がなくなっていました。これは自分が作ったオフェンスに原因がありました」と指揮官は敗因が自分にあったと語る。その上で「より早い段階でアドバテンジージを作って攻めるように心がけたことで、最初から最後まで選手たちが積極的にアタックしようという気持ちを持ってくれました」と、テンポ良く攻めることを意識させたことが大きかったと言う。

一方、名古屋Dの梶山信吾ヘッドコーチは、「最後は終始、ディフェンスで後手に回ってしまいました。相手にやりたいことをやらせてしまった。特にサクレ選手のインサイドを止めらなかったのが反省」とコメント。これで4連敗、そのうち3試合が6点差以内と勝ちきれない展開が続いているが、「終盤における相手のタイトなディフェンスに負けないメンタリティが必要。少しでも消極的になると良いオフェンスができないので、今やっていること、チームメートを信じてやるだけです」と、どれだけ強い気持ちを持ってプレーできるかが重要になると語った。

SR渋谷は勝率5割を、名古屋Dは連敗ストップを目指し、今日14時05分より再び対決する。