ポゼッション数で下回るも経験の勝利
千葉ジェッツvs横浜ビー・コルセアーズの第1戦。ゾーンディフェンスに苦戦し最大18点のリードを失ったが、最終的にゾーンを攻略しインサイド攻めが機能した千葉が接戦を制した。
大野篤史ヘッドコーチが「(富樫)勇樹はケガの影響で練習ができていなかったので、プレータイムを制限しないといけなかった。(西村)文男もケガなので」と語ったように、富樫に代わって藤永佳昭が初先発を務めた。
そして、「アキがしっかりコントロールしてくれたおかげでシューターも気持ち良く打てたと思いますし、ゲームスタートの組み立てはしっかりやってくれた」と大野コーチが続けたように、ドライブからパスを散らして約5分間で3本の3ポイントシュートをアシストするなど、持ち味のディフェンスに加えてオフェンス面でもチームを引っ張った。
この藤永のゲームメークで良い入りのできた千葉は、途中出場の富樫も得点力を発揮。第2クォーターに入っての約5分強、横浜にタフショットを打たせ続けて失点を2に抑え、富樫のツーメンゲームで加点しジョシュ・ダンカンのバスケット・カウントでこの日最大となる18点のリードを奪った。
それでも、横浜は前半だけで21得点を挙げたジェームズ・サザランドを中心に反撃。1試合平均約4本のオフェンスリバウンドを獲得するレジナルド・ベクトンもインサイドで本領を発揮し、第3クォーター残り4分20秒にはベクトンがこぼれ球を押し込み、5点差まで追い上げた。
千葉はここでタイムアウトを要求し、富樫をコートに送り出す。この富樫がこの悪い流れを変えた。富樫はタイムアウト明けの大事なオフェンスで田口成浩の3ポイントシュートをアシストし、その後は連続でプルアップシュートを沈めた。止まらない富樫は最後のポゼッションで3ポイントシュートを沈め、73-59とリードを2桁に戻して最終クォーターを迎えた。
ゾーンを崩せず延長へ
横浜は最終クォーター開始わずか1分でべクトンが個人4つ目のファウルを犯し、さらに代わって入ったエドワード・モリスもファウルをコールされ、開始1分半でチームファウルが4に到達。こうして千葉優位の状況となったが、「ゾーンのところで攻めあぐね、オフェンスリバウンドだったり、フィフティーフィフティーのボールをことごとく横浜さんに拾われて、それを得点に繋げられた」と大野コーチが語ったように、千葉はここから失速した。
ダンカンが後半プレーできない状況も絡みオフェンスリバウンドからの失点が増え、オフェンスでも軽率なミスが増えた。後手に回ったことでアキ・チェンバースや田渡凌のアタックを許し、残り3分53秒には田渡の3ポイントシュートを浴びて、この試合初めてのリードを許した。
その後、ハイポストにパーカーが飛び込むことでゾーンを攻略し再びリードしたが、オフェンスリバウンドからマークが外れ、ノーマークになったアキに3ポイントシュートを許し、延長戦に持ち込まれた。
「一つの改善策でゾーンをブレイクできたのは良かった」
それでも、横浜の粘りもここまで。千葉は延長で最初のオフェンスでパーカーが3点プレーとなるバスケット・カウントで先制すると、直後にはべクトンをファウルアウトに追いやる。こうしてインサイドで優位に立った千葉は、パーカーとギャビン・エドワーズがともにオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントを決めたことが決定打となり、最終スコア100-94で延長戦を制した。
大野ヘッドコーチが「リバウンド、ルーズボールのところで相当数を取られて、自分たちのポゼッションが相当低いんじゃないか」と言うように、ポゼッション数で62-78と大きく上回られたことは課題。それでも、「ちょっと遅かったですけど、一つの改善策でゾーンをブレイクできたのは良かった」と、延長になっても勝ち切ったことを評価した。
一方、敗れた横浜の指揮官トーマス・ウィスマンは「第4クォーターにチャンスを取り戻したが届かなかった。千葉は良いチームで延長戦でも経験がある。ファウルトラブルに巻き込まれて、退場もあったが、全体的にチームとしてのパフォーマンスは良かった」と総括した。
今日の第2戦もインサイドの激しい攻防が予想される。