文=丸山素行 写真=鈴木栄一

40得点を荒稼ぎしたガードナーが退場に

アルバルク東京と新潟アルビレックスBBの第2戦は延長の末、97-95で新潟が競り勝った。

第1戦と同様に新潟はダバンテ・ガードナーを中心にオフェンスを展開。対するA東京はチームのバランス力を生かし対抗した。序盤から両チームともにシュートタッチが良く、ハイペースで得点を重ねる展開となりながらも、どちらかが大きくリードすることのない均衡が続く。

試合が大きく動いたのは最終クォーター残り1分43秒、79-74と新潟リードの場面。ここまで強引なアタックをことごとく決めて40得点を荒稼ぎしていたガードナーが、安藤誓哉へのディフェンスでファウルを取られた判定に怒り、2つ目のテクニカルファウルをコールされ退場となったのだ。得点の半分を稼ぎ出すガードナーの退場は大きな痛手。手薄となったインサイドを攻められた新潟は、残り24秒にジャワッド・ウィリアムズの3ポイントシュートで追い付かれ、試合は延長戦に突入した。

新潟はもともと城宝匡史とジャレッド・バーグレンがケガで欠場。タイムシェアを徹底していたA東京に対し主力のプレータイムがかさんでおり、スタミナ的にも厳しい状況に追い込まれた。だが、結果的にこのピンチがチームの結束を生み、不利な状況下での全員バスケを展開した。

95-95の同点で迎えた残り3秒の場面、五十嵐圭とのピック&ポップからオースティン・ダフォーがドライビングレイアップを沈め勝ち越す。タイムアウトを使い切っているA東京はエンドラインからのリスタートを強いられ、ハーフコート付近から放った田中大貴のシュートはリングに当たることなく、そのままゲームセットとなった。

「チーム全員ですごく我慢したゲーム」

勝利した庄司和広ヘッドコーチは今日のゲームプランをこのように説明した。「昨日のゲームの中でダバンテのところが抑えられてなかったので、そこを強調していきました。ダバンテからキックアウトしたもの、インサイドアウトに関しては思い切って打ちましょう。それができない場合はスイングしましょうと、そこまで伝えてあってそれが形になりました」

ガードナーは昨日の35得点に続き、途中退場ながら40得点とゲームを支配。他の選手も、庄司コーチの作戦をしっかり遂行し、課題であった日本人選手の得点も伸びた。

また第1戦の敗因となったペースコントロールの課題を解消。ゾーンディフェンスのタイミングも効いていた。「ゾーンも比較的効いたと思います。昨日よりリバウンドのところでハッスルできたこと、向こうのファストブレイクポイントを0点に抑えられたことは非常に良かった」

「厳しいゲームの中でターンオーバーを5で抑えられたのは、チーム全員ですごく我慢したゲーム」と、苦しい状況にありながらも集中を保ち、結束がもたらした勝利に指揮官は胸を張った。

また4本の3ポイントシュートを沈め勝利に貢献した五十嵐はチーム一丸の勝利を強調した。「チーム全員であきらめずに最後まで戦えたこと。ダバンテがずっとチームを支えてくれていたので、残った選手全員で戦った結果が勝利につながりました」

1対1での対応に固執し、ガードナーを止められず

A東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチは敗れた試合をこう振り返った。「今日の敗因はディフェンスです。できたこととできなかったこと、できなかったことのほうが長かったです」。ガードナーには2戦合計で75得点を許した。それでも昨日と同様に、あえてダブルチームにいかなかったと説明した。「1対1でとにかく守れ、ハードにタフに戦えという我々の戦術です。ガードナーには目をつむるというのは計算の上です」

それよりも城宝の欠場による『苦肉の策』であるはずの五十嵐と畠山俊樹のツーガードにそれぞれ14得点、18得点を奪われ、ガードナー退場後もダフォーに引き続きインサイドを支配されたことをルカコーチは敗因に挙げた。「他の選手も2桁得点がいますし、ガードナー以外の選手のところで数多く得点されたことが自分たちのできなかった部分です」

ガードナーがコートを去った瞬間や、延長戦に持ち込んだ場面など、A東京が優位に立った場面は何度もあった。もう一押しがあれば、ギリギリで踏ん張っていた新潟を崩せたはずだ。「誤算は大事なところでのフリースロー。そういったところも響き、最後の最後で、あと一歩追いつけませんでした」と、勝負どころでのフリースローが勝敗を分けたとルカコーチは語った。

確かにA東京のフリースローは23本中15本の成功と決して高い数字ではなく、勝ち越せる場面で同点どまりになるなど勝負を分ける要素となった。だが終盤だけではなく、第1クォーターではガードナーがテクニカルファウルをコールされた時のフリースローを外したり、逆にルカコーチがテクニカルファウルを犯し、与えたフリースローを決められていた。

また誰が見てもガードナーには何らかの策を講じたほうが良かったという状況でも、ルカコーチは頑なにそれをしなかった。『敗北』という高い授業料を払って選手のステップアップを促し、負けるべくして負けたことになる。

A東京が敗れたことにより、4試合を終えた時点ですでに全勝のチームがなくなったB1は、『群雄割拠』の様相を呈している。

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