写真=Getty Images

クリス・ポールが抜けた大きな穴を埋める役割を担う

昨シーズンまでの数年間、クリッパーズは常に優勝候補に挙げられながら、負傷者が続出するシーズンが続く不運に苛まれた。2015年のプレーオフでは西カンファレンス決勝まであと一歩のところまで進んだものの、ロケッツとの準決勝で3勝1敗から大逆転負けを喫するなど、決め手に欠けるチームという印象が根付いてしまっている。

昨シーズン終了後、現状維持では何も変わらないと真っ先に行動したのはクリス・ポールだった。ポールはフリーエージェントになれるプレーヤーオプションを敢えて行使せず、チームにとって少しでもプラスになるようロケッツへのトレードを要求。これを受けてクリッパーズはポール慰留を断念して、7対1という大型トレードを成立させた。

司令塔でありリーダーでもあるポールを失ったクリッパーズは、今夏フリーエージェントになったブレイク・グリフィンとスーパーマックス契約を結び、新体制へと移行した。

今シーズンが9年目のグリフィンは、1試合20得点10リバウンド以上が見込めるリーグトップクラスのパワーフォワードだが、ここ数年はケガに泣かされ、主力として満足のいく仕事ができていない。ポールの移籍により、10年目のディアンドレ・ジョーダンとともにチームの大黒柱となったグリフィンは、「必然的にチーム内の役割は変わる」と今シーズンに向けた意気込みを『LA Times』に語った。

「CP(ポールの愛称)のような選手がいなくなれば、全員がステップアップしないといけない。DJ(ジョーダンの愛称)とも夏の間を通して話し合ってきた。目の前のチャレンジに興奮しているよ」

曲者揃いの戦力をグリフィンはまとめられるか

優勝候補から中堅クラスにチームの格が下がったとはいえ、今シーズンのクリッパーズの新戦力は曲者揃いだ。

新戦力のパトリック・ベバリーは守備に秀でるポイントガードで、汚れ仕事も厭わない。リーグ有数のシックスマン、ルー・ウィリアムズは、ティンバーウルブズに移籍したジャマール・クロフォードの穴を完璧に埋めてくれる存在だ。30歳にしてNBAにやってきたミロシュ・テオドシッチの創造性あふれるパスは魅力的で、今シーズンの新人王レースのダークホースとしても期待されている。ナゲッツから移籍したダニーロ・ガリナリは、健康なら1試合20得点以上が見込めるため、スモールフォワードの得点力が弱点だったクリッパーズにとっては、この上ない戦力になるだろう。

グリフィンも新戦力について「ルーは経験豊富だし、パトリックは大舞台を経験している」と、期待を寄せている。

だが、新チームを形にするには、柱であるグリフィンが全員をまとめ上げなければいけない。そのことも自覚しているグリフィンは「全員でやることだけれど、僕とDJは、今シーズンから大きな責任を持ってプレーしないといけない」と言う。

ただでさえ激しい西のプレーオフ争いは、ロケッツ、サンダー、ウルブズらが大型補強を実行したことで、さらに厳しさを増す。クリッパーズがこの荒波に乗り越えられるかどうかは、グリフィンのリーダーシップにかかっている。