ジミー・バトラー

バスケットボールに対してストイックという共通点

今年6月末、ヒートのパット・ライリー球団社長は、アメリカン・エアラインズ・アリーナでフリーエージェントになったジミー・バトラーと挨拶を交わした。その3時間後にはバトラーはヒート入団を決めていた。入団後の記者会見では「チームカルチャーに惹かれた」と語ったが、バトラーの決断を後押ししたのはライリーが用意した高級ワインだったのかもしれない。

ライリーがバトラーを口説くのために用意したのはイタリア産の高級ワイン。「香りを嗅ぎ、口に含んで味わった後で『良いワインだ』と言っていたよ」と『Yahoo sports』の取材に応じたライリーは振り返る。

ライリーは以前からバトラーの入団を切望していた。2018-19シーズン、バトラーがティンバーウルブズにトレードを要求した時にヒートも獲得に動いたが、結局バトラーはシクサーズと契約した。ドウェイン・ウェイドに代わるフランチャイズプレーヤーとしてバトラーに期待していただけに、ライリーの落胆は大きかった。しかし、バトラーのシクサーズ在籍は短期間に終わり、サイン&トレードでヒートに来ることになった。

バトラーはバスケットボールに対して極めてストイックで、そのためにはチームメートとの衝突も辞さない。ウルブズでもシクサーズでも、バトラーがチームメート全員に自分と同じだけのストイックさを求めたためにロッカールーム内に不協和音が生まれている。だが、バトラーのその姿勢はハードワークを尊ぶヒートのカルチャーには合う。

「ビーチで遊びたいなら、ウチには来ないほうがいい」と話すライリーと、13歳で家を出てから居場所を転々としながらバスケットボールを続け、マーケット大時代の恩師の「努力でしか自己を超えられない」という教えを忠実に守ってきたバトラーの相性は抜群だ。

ライリーのヒートは、バトラーの活躍で現在18勝6敗で東カンファレンス3位につけている。今シーズンが終わった時に、2人で勝利の美酒を味わうことができるのか、ヒートのこれからの戦いに注目したい。