「連携が取れていない部分がディフェンス面でも多い」
優勝に貢献した選手の多くがチームを離れた栃木ブレックス。ヘッドコーチも代わり、現在のチームは初代王者となった昨シーズンとは別のチームと考えていいだろう。そんな状況で迎えたシーホース三河との開幕節は、1勝1敗の痛み分けとなった。
昨シーズン同様に先発を任された遠藤祐亮は開幕の2試合を振り返る。「初戦はブレックスが激しいディフェンスをして勝利。第2戦は逆に向こうの激しいディフェンスに最初からやられてしまって、そのままいってしまった感じです」
昨シーズンの栃木に優勝をもたらした直接的な武器は『堅守とリバウンド』。リバウンドを担うフロントコートの象徴がライアン・ロシターだとしたら、堅守を担うバックコートの象徴が遠藤だ。チームでただ一人全試合先発出場を果たし、『ベストディフェンダー賞』を受賞。今月19日に28歳の誕生日を迎える遠藤は、今まさにキャリアを大きく飛躍させている真っ最中だ。
しかし、その遠藤をしてディフェンス面の連携構築が足りないと感じている。「メンバーが結構変わったので、やっぱりまだコミュニケーションが足りてないです。連携が取れていない部分がディフェンス面でも多いので、良くしていかないといけない」
新境地を開拓「オフェンスで相手を疲れさせる」
もっとも、遠藤に『守備の人』で甘んじるつもりはない。移籍で選手が入れ替わる中、今シーズンは得点面での貢献が期待され、自らがオフェンスのファーストオプションになることもあるという。「スタートで出ているアウトサイドのメンバーの中では自分が点を取らないといけない、昨シーズンより積極的にやろうという気持ちはあります。最終的にピック&ロールが多いので、そこで自分も生きながら仲間も生かせるようなプレーを伸ばしていきたい」
以前から得点力アップを自身の課題に挙げていた遠藤。まだ2試合が終わっただけだが、フィールドゴールの試投数は昨シーズンの1試合平均7.3から10.5と増え、得点も10点と昨シーズンの7.6得点を上回っている。「『打て』と言うような雰囲気のパスをもらっているんですよね。去年だったら躊躇している部分ですけど、この2試合は打って、リバウンドを取ってもらって仲間の得点になったりしています。なので、チームのリズムで打てているんじゃないかなと」
遠藤が目指す進化はシュートを打って得点を伸ばすだけではない。オフェンスに力を入れることで相手エースの負担を重くすることも狙っている。「昨シーズンでディフェンスには自信もつきました。自分が相手のエースにマークされている時には、オフェンスで相手を疲れさせるというのをプラスしたいです」
顔ぶれは変われど、栃木の『堅守とリバウンド』というスタイルは変わらない。それでも個々の選手の成長なくしてチームのレベルアップはない。昨シーズンは守備の面で『エースキラー』と呼ばれた遠藤は、あらゆる面で相手を嫌がらせ、苦しめる存在へとステップアップしようとしている。もちろん、これまでの長所を捨てるつもりはなく、「オフェンスに力を入れるからディフェンスができないというのは、今のところないです」と、『二刀流』に自信をのぞかせた。