インサイドを軸とする堅守でタフゲームを制す
10月1日、京都ハンナリーズがホームで三遠ネオフェニックスと対戦。前日(80-62)に続いての安定したディフェンスによって65-63と競り勝ち、開幕2連勝を飾っている。
第1クォーター、京都は18-7と先手を奪うとそのまま試合を優位に進め、第3クォーターを終えて14点のリードを奪う。第4クォーターに入ると、外国籍選手がスコット・モリソンのみと苦しい布陣の三遠も意地を見せ、残り5分で5点差まで詰め寄る。しかし、京都はここで踏ん張り、残り約3分に片岡大晴のシュートで再びリードを10点差に広げると、そのまま粘る三遠を振り切った。
「最後はタフゲームになりました全体的にはしっかりディフェンスができて63点に抑えることができました」。京都の浜口炎ヘッドコーチは守備でつかんだ勝利と語る。また、外国籍一人と手負いの相手だったとはいえ、「三遠さんはどのチームよりも若干、完成度は高いと思います。そのチームに接戦を勝ち切れたのは若いチームにとって自信になりました」と続けている。
『ジャンボトラック』のジョシュア・スミス「150kg」
この試合、京都の勝因となったのは、日本代表の太田敦也がいるとはいえサイズ不足に陥っていた三遠の弱みを的確に突き、ゴール下を支配したこと。特にジョシュア・スミスが21得点16リバウンドを大暴れ。試合序盤の負傷でわずか約9分の出場に終わった守備の要マーカス・ダブ離脱の穴をしっかり埋めた。
スミスといえば、HPに記載されている体重は138kgだが、実際に見ると「もっと重いんじゃないか?」と感じてしまう巨体の持ち主。だが、試合後のヒーローインタビューで体重を聞かれると、「150kg」とあっさりカミングアウト。この体格だと当然のように、機動力が不安視されるが、浜口ヘッドコーチは「意外と足は速いですし、ジャンプへの動作も速い。トランディションについていけないことはないです。ディフェンスについても、特に手を出すのがうまいです」と評価している。
ジョシュア・スミス本人も「僕はスピードがあるわけではないけど、クイックネスはある」とコメント。実際、瞬間的な動きでうまく身体を寄せてインサイドにアタックするコースを作り出したり、守備でも指揮官も触れたように素早く手を出してボールを弾いたりする術に長けている。
去年プレーしていたフィリピンではファンに『ジャンボトラック』と呼ばれた新戦力は、インサイドにくさびのパスを入れ、攻撃の起点とするスタイルを志向する指揮官とは抜群の相性。これから日本のジャッジに慣れ、周囲とのコンビネーションが深まればさらなる脅威になってくるだろう。余談ながら脚にはドラゴンボールのタトゥーを入れるほどのファンであり、「好きなキャラは孫悟空かベジータだね」という意外な趣味も明かしてくれている。
永吉も守備で貢献、ビッグラインナップに期待
また、スミスと同じく新戦力で、待望の日本人ビッグマンとなる永吉佑也も9リバウンド2ブロックと守備で貢献。そして第4クォーターには、スミス、永吉に加え、ジュリアン・マブンガ、片岡、岡田優介というビッグラインアップも導入している。外国籍相手とも渡り合うことができる永吉の加入により、昨シーズン3ポイントシュートの成功数リーグ1位とアウトサイドをより得意とするマブンガの個性をより生かせる布陣も組めるようになり、「こういう組み合わせをこれからもできればいいなと思っています」と指揮官もチームの武器にしていきたい考えだ。
パワーとサイズを増した京都が、来週対戦するのはリーグ屈指の高速バスケを展開する千葉ジェッツ。対照的な個性のぶつかり合いで、楽しみなカードとなっている。