アジアを制した女子日本代表を指揮するトム・ホーバス、最終的な目標に「オリンピックの金メダル」を設定

2017/09/25
日本代表
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文=丸山素行 写真=FIBA.com

「チームはスターティングメンバーだけじゃない」

9月23日、アジアカップ『優勝祝賀会』が行われ、3連覇の偉業を成し遂げた女子日本代表が集結した。ヘッドコーチを務めるトム・ホーバスは選手たちと再会し、「2カ月も経ったけど、まだ喜びがある。みんなの顔を見て、良いチームだなって」と、感慨深げな表情を見せた。

今回のアジアカップではWNBAに参戦中の渡嘉敷来夢が招集から外れ、大会期間中にキャプテンの吉田亜沙美がケガをするなど、フルメンバーで試合に臨むことができなかった。だが、その危機を若手がチャンスとして受け止め、それぞれの役割をこなすことでリオ五輪のチームからさらにステップアップして見せた。

「今回は渡嘉敷も出てない、吉田もケガ、栗原(三佳)もいなかった。ウチの若い選手にはすごく良い経験になって、優勝してから自信を手にしたと思う。だからこれからはもっともっと強いチームになる」と、トムコーチもこれからの伸びしろに期待を寄せる。

トムコーチはアジアカップの激闘を振り返るにあたり、「準決勝は藤岡(麻菜美)、決勝は水島(沙紀)」と活躍した選手の名前を挙げたが、『チーム』を強調する姿勢はブレない。「いつも言うけど、チームはスターティングメンバーだけじゃない。そこは毎日練習中から言っているし、今大会は全員を使った。ベンチメンバーもみんな良い仕事をした」

『惜しかった』で終わるのと、『勝ち切る』のでは、その試合から得ることができる経験値は違ってくる。そういう意味で接戦をモノにしてアジアの頂点まで勝ち進んだ今回の経験は大きな財産となる。「準決勝もギリギリ、決勝戦も1点差のゲーム。こういう経験は必要。ワールドカップはそういう自信を持って行ける。今回の経験は大きい」

「ワールドカップでメダルを取り、オリンピックで金メダル」

次の目標は来年8月に開催されるワールドカップ。トムコーチは「メダルの色は関係ない。とりあえずメダルを取りたい」と世界の3強に割って入るつもりだ。ここでメダルの色にこだわらないのは、その先にある2020年の東京オリンピックで金メダルを見据えているからだ。

「今回はアジアカップで優勝した。ワールドカップでメダルを取ったら、次のステップはオリンピックの金メダル。まだやったことがない高い目標を達成したい。難しいと思うけどできると私は信じてる。選手たちも信じてると思う。良い準備をしたい」

以前に語っていたのは「オリンピックでメダルを取りたい」であり、『金』とは公言していなかった。だが結果を残すこのチームに手応えを感じ、目標はさらに明確になった。そして、『思考は現実化する』という理論で選手を鼓舞している。

「もしオリンピックのメダルの色は関係ないって言ったら中途半端になる。金メダルが目標となれば、選手たちもスタッフも毎日うまくならないと絶対に達成できない。選手たちも金メダルを取りたいと信じてなかったらできない」

Wリーグはワールドカップを見据えた代表選考レースに

Wリーグの新シーズンが間もなく開幕する。その注目ポイントの一つがワールドカップに向けた代表メンバー争いだ。経験のあるリオ組、勢いのあるアジアカップ組、そして新たに代表入りや代表復帰を目指すメンバーが多数、この競争は過去に類を見ないレベルの高さだ。

トムコーチは代表候補はまだ決まっていないとしながらも、若手の育成が大事だと説いた。「代表に入らなくても練習に参加させたり、若い選手にはチャンスをあげないと。特に高田(真希)、渡嘉敷、大崎(佑圭)の下の若いビッグマンが大事」

競争はインサイドプレーヤーに限らない。リオで活躍しながらアジアカップに招集されなかった栗原や本川(紗奈生)は代表復帰を目指しているし、若い世代の台頭は今回のアジアカップ参加メンバーに限らない。しかし、この状況はヘッドコーチにとってはありがたい話。「競争が必要だし、高いレベルが何人もいるのは良い問題。最後は難しいけど、それが私の仕事」とトムコーチは代表争いの激化を歓迎している。

オリンピックを見据え、来年のワールドカップへ向けた準備がこれから始まる。リーグ戦の開幕は10月7日。国内の争いで総合力が底上げされ、その結果が代表に還元されるはずだ。