大学ラストイヤー、葛藤を乗り越え『吹っ切れた』杉浦佑成(筑波大学)「馬場が抜けたからってどうこう言われるのは嫌」

2017/09/23
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文・写真=丸山素行

決勝点を挙げるも浮かない表情の理由

関東大学リーグ1部第5戦、筑波大学と青山学院大学の対戦。序盤から一進一退の攻防を繰り広げ、最終盤までもつれる熱戦に終止符を打ったのはエースの杉浦佑成だった。終盤に連続3ポイントシュートを浴び追い付かれるも、杉浦が値千金の3ポイントシュートを入れ返す。このリードを守り切った筑波大が勝利し、戦績を3勝2敗とした。

ゲームハイの19得点を挙げ、勝利の立役者となった杉浦。だがその表情は勝者とは思えない、暗いものだった。「ディフェンスの部分で点数を取られすぎました。個人的にももうちょっと集中してできたかなって思います。離す時に離しきれなかったりして、競った試合となりました」と反省点が口をついて出た。

筑波大学は前年度の大学3冠、インカレ3連覇を達成したチームだ。その王者としてのプライドが杉浦のネガティブな発言に表れている。「毎試合もっと点差をつけて、チームとして安定して勝利をつかみたいというのが僕にはあります」

「ディフェンスからブレイクを出さないと点差は開いてこないです。自分もそうですが、みんながゴールに向かって走るっていうことを、もっと意識しなければいけません」

だが、点差をつける以前に筑波大学はすでに2敗を喫している。春のトーナメントで優勝して以降、筑波大学の持ち味が出せないでいることを杉浦は問題視している。「トーナメントまではディフェンスからの速攻っていうのが僕たちの強みだったんですけど、リーグ戦に入ってから全然速攻が出ていません」

原因は様々あるが、言い訳はしない。「意識次第でどうにかなると思います」

 

「積極的」と「大事に」、その葛藤を乗り越えて

杉浦とともに大学バスケ界を牽引し、筑波大学の黄金期を作り上げた馬場雄大は、大学卒業を待たずにBリーグへの挑戦を発表した。彼がいなくなったことで戦力が低下したのは紛れもない事実だ。

それでも「馬場が抜けたからどうこうって言われるのが僕は嫌なんです。どの試合も絶対勝ちたいって思っています」と、杉浦は盟友のいないチームを引っ張る強い覚悟がある。

だがその強い責任感が杉浦のプレーに悪影響をもたらすことに。チームを勝利に導く強い思いが、自身の良さを奪っていた。「思い切りのいいシュートを打つというのが僕の良いところなんですが、一つひとつのシュートを大切にしすぎてしまい、普段なら打っていたところでパスを探してしまったりっていうのが、リーグ戦が始まってから結構ありました」

「積極的」と「大事に」、この相反する2つの言葉の中で葛藤があった杉浦。話始めは浮かない表情だったが「今回の試合でやや吹っ切れた」とようやく明るい表情を見せた。

「前の2試合で全然得点がとれなくて、チームとしても課題になっていました。失点は多かったんですけど、83点はリーグ戦が始まって一番なので。序盤にガンガン行けたのが大きかったと思います」

第5戦目にして上昇のきっかけをつかんだ筑波大と杉浦。そんなリーグ戦は稀に見る混戦状態にある。「こんなに早く全勝も全敗もないっていうのは、僕が大学に入ってからは初めてだと思います」と言うように、上位5チームが3勝2敗、下位5チームが2勝3敗とほぼ横並び。

「こういう状況なので目の前のことを一つひとつやって、先を見過ぎずにやっていきます。チームとして成長し優勝したいです。そして、インカレに臨みたいです」と目標を語った。

淡々とした口調ながらも、根底に強い意思を感じる杉浦の言葉。大学ラストイヤーということもあり、1試合1試合に懸ける思いは計り知れない。有終の美を飾ることができるか、『吹っ切れた』杉浦に注目したい。