レブロンも称賛した『ミスター・トリプル・ダブル』
トレイシー・マグレディらのバスケットボール殿堂入りから数日しか経たないにもかかわらず、早くも2018年の殿堂入り候補の名前が挙がり始めている。有資格者の中で殿堂入りが確実視されているのは、現在バックスを率いるジェイソン・キッドだ。
2011年にマブスで優勝を果たしたキッドは、新人時代から類い稀な視野の広さ、パスセンスに優れ、ポイントガードでありながらリバウンド能力も傑出していたため、現役時代は『ミスター・トリプル・ダブル』と呼ばれていた。
キッドといえば、やはりNBA史上に残るパサーという印象が強い。一緒にプレーした選手全員が「後頭部にも目がついているように感じる」と言うほど、コートの隅々まで見えているかのようなプレーを頻繁に見せた。
キッドのパサーとしての能力が図抜けていた理由は、チームメートが欲しいタイミングで、欲しい場所に出してくれるという、至れり尽くせりなところにある。レブロン・ジェームズは以前「史上最高のポイントガードの一人」とキッドを称賛。2008年の北京五輪ではともにアメリカ代表として戦い、金メダルを獲得した。
キャリアで2度1試合20アシスト以上を記録したキッドのハイライトといえば、マジック・ジョンソンの通算アシスト数(1万141)を抜いた2009年4月5日に行なわれたサンズ戦での20アシストだろう。
すでに全盛期を過ぎ36歳になっていた当時のキッドのプレーを振り返ってみると、若い頃と比べて派手さには欠けたが、基本に忠実でミスが少なく、受け手がキッドにアシストを付けてあげたいという信頼関係が伝わってくる。
2013年に引退したキッドは、歴代2位となる通算1万2091アシストという大記録を作り、指導者に転身した。
気が早過ぎるかもしれないが、NBA優勝、新人王(1995年、グラント・ヒルとともに受賞)、オールスター選出10回を誇るキッドが来年殿堂入り式典の檀上に立つ姿を想像してしまうだけで興奮してしまう往年のNBAファンは多いのではないだろうか